渋味や雑味の感じないピュアな味わい!熊本発のやさしい「和紅茶」を召し上がれ

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心をおだやかにする「和紅茶」で喫茶去

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わが家の朝は紅茶ではじまります。仕事場でも紅茶は飲みますが、どちらかというと仕事中はコーヒーの方が多いのです。紅茶はゆったりとした気持ちに、コーヒーは忙しい時に刺激を与えて覚醒させるという役割なのです。

 

以前から気になっている紅茶の名称に“和紅茶”というものがあります。紅茶といえば海外のものだと思っていたのですが、実は日本でもずいぶん紅茶は作られていたのですね。はじめて“和紅茶”というものを知ったのは2年ほど前のことでしょうか。自分のブログを遡って調べると2014年に、「今日1月17日は日本の紅茶にとって意味深い日なのです。1878年(明治11年)のこの日に、明治政府は「紅茶製法伝習規則」を制定したのです。当時の勧業寮(現在の農水省)は殖産振興の一環として、多田元吉を1875年に清国へ、翌年はインドへ派遣しました。現地での技術を習得し、帰国後、東京・静岡・鹿児島で伝習所の開設に至ったのです。しかし、日本の風土は紅茶の栽培には適していなかったので、紅茶栽培が根付かなかったのです。同じお茶でも難しいのでしょうね。現在、静岡市丸子の長源寺には、多田元吉がインドのアッサム地方から持ち帰った、樹齢130年の4本の茶の木があるそうです。」と、書きましたが、明治から昭和にかけて、一時は数千トン単位で海外に日本産紅茶は輸出されていたそうです。しかし、海外との輸出競争に敗れ、全然日本産紅茶の生産は振るわなくなくなりましたが、食の国産品の振興で現在は全国で600ほどの生産者さんがいるそうです。いや、本当にこんなにいるとは思いもよりませんでした。

 

この“和紅茶”という言葉を最初に発信したのは、赤須治郎さんという方で“和紅茶”の普及振興に勤めているようです。(詳しいことを知りたい方は、赤須治郎さんのHP“http://www.wakocha.jp/”をご覧ください)そして、この“和紅茶”という存在は、金沢在住の料理研究家・お茶の専門家の小川敦子先生から教えていただいたものです。


小川敦子先生には、金沢のご自宅までお伺いし、緑茶、中国茶、紅茶と色々なお茶の美味しい飲み方や種類を教えていただきましたが、その中でもこれはと思うのが今回ご紹介する“和紅茶”なのです。熊本県葦北郡芦北町の「釜炒り茶工房 お茶のカジハラ」の在来種一番茶春の「和紅茶」です。先日、熊本では大地震がありましたが、熊本市からは南に当たり、水俣市の少し北東側で、八千海に面した温暖な場所です。この地域は幸い大きな被害は無かったそうですが、熊本のいち早い復興を祈るばかりです。20年ほど前に大判の『世界の名茶事典』(講談社)の制作に関わりましたが、今、この本を見返しても「和紅茶」どころか「国産紅茶」の記述もありません。和紅茶という言葉自体はこの5〜6年に広まったようで、まだ、一般的な認知度は低いようですが、これから、国産品にこだわる層が多くなり、広まっていくことと思います。


その釜炒り茶工房 お茶のカジハラの「在来種一番の和紅茶」ですが、発酵の調合がいいのか、癖の無いストレートな味わいで、まったく渋味や雑味の感じられないピュアな味なのです。普段は、発酵の強めでブレンドされたものをミルクティーにして飲んでいるのですが、この「和紅茶」は鼻孔に感じる柔らかな香りを楽しみながら、舌の上やのどをするっと通って行くのです。ストレートで飲むのにふさわしく、気持ちまでがゆったりとしてくるのです。禅語の茶席の言葉に「喫茶去」というものがあります。この「春摘み在来種和紅茶」を最初に飲んだ瞬間頭を過ったのです。「お茶をおあがり」「はい、いただきます」というシンプルな茶の世界ですが、やはり「和紅茶」にもそのDNAが受け継がれているような気がします。この「和紅茶」なら、アルコールを飲めない人でも、”洋食”の食後ではなく、食中のお供としてもお薦めできます。

紹介しているお店
釜炒り茶工房 お茶のカジハラ Green Farm

※掲載情報は 2016/12/02 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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