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シトー派修道院で造られる「神のチーズ」
ブルゴーニュといえば、ボルドー、シャンパーニュと並ぶ、フランスワインの三大名醸地ですが、ブルゴーニュ産のチーズもあります。
例えばエポワスというチーズは、ブルゴーニュ地方を代表するウォッシュタイプのチーズで、19世紀の食通ブリア・サヴァランはこのチーズを「チーズの王」と讃えました。
今回ご紹介するのは、エポワス同様ウォッシュタイプのチーズ「アベイ・ド・シトー」です。アベイ・ド・シトーとは「シトー派修道院」という意味で、その名の通りシトー派の修道院で造られています。
私がこのチーズと出会ったのは、2年前ブルゴーニュを旅した時です。
ミシュラン一つ星のレストラン「ル・ベナトン」で食事をした際、メインのお料理の後に出てきたチーズプラトーの中に、このアベイ・ド・シトーがありました(写真左手前)。
写真中央のコンテと右手前のラングルは、日本でも食べたことがあったのですが、アベイ・ド・シトーを食べるのはその時が初めてでした。
ちょうどその日の昼間は、コート・ド・ニュイ地区の畑を回っていて、ヴォーヌ・ロマネ村にある、かの有名なロマネ・コンティの畑の前で記念撮影。
そのお隣のヴージョ村にある、クロ・ド・ヴージョの葡萄畑の中にあるシトー派の修道院(現在はブルゴーニュ利酒騎士団の本拠地で、博物館になっています)を通ってきたところだったので、なおさら感慨深く、このチーズを食したことを覚えています。
中世の時代、ワインとチーズ造りは修道士の重要な仕事で、ワインとチーズの歴史を語る上で修道院は欠かせない存在なのですが、特にチーズ造りにおいては、修道院でウォッシュタイプのチーズの名品が数多く造られています。
アベイ・ド・シトーもその一つで、修道士たちの手によって、生産から熟成まで一貫して修道院の敷地内で行われている、まさに「神のチーズ」なのです。
包み紙の中央には「PRIERE&TRAVAIL」と印字されています。
これは「祈りと労働」という意味で、厳しい戒律の中で生活し、労働と学習を重んじてきたシトー派修道院の標語となっています。
塩水で洗われた表皮は薄いオレンジ色をしていて香ばしい香りを放ち、むっちりと弾力のある生地はなめらかな口溶けです。
このチーズは、やはり同郷のブルゴーニュワインと一緒に召し上がっていただきたいです。
ブルゴーニュのピノノワールとご一緒に、至高のマリアージュをお楽しみください。
※掲載情報は 2015/12/02 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワイン・チーズ講師
佐藤玲子
元 国際線客室乗務員。京都産業大学 外国語学部 非常勤講師、ワインスクール レコール・デュ・ヴァン主任講師を経て、レザンドール ワインサロン主宰。レザンドール代表として、企業向けセミナーや講演会の講師を務める他、各種イベントを主催して、ワインとチーズの魅力を伝える活動をしてします。
日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ
日本ソムリエ協会認定 ワイン検定 ブロンズクラス・シルバークラス認定講師
日本ソムリエ協会認定 Sake ディプロマ
WSET(R) インターナショナル・ハイヤー・サティフィケート
チーズプロフェッショナル協会認定 チーズプロフェッショナル
チーズプロフェッショナル協会認定 C.P.A.チーズ検定認定講師
フランスチーズ鑑評騎士の会 シュヴァリエ(騎士)叙任
世界遺産検定1級
2018年 ジャパン・チーズ・アワード審査員
2015年 2018年 コンテ チーズ ベストプロモーター
2017年 パルミジャーノ・レッジャーノ ベストプロモーター
2015年 2016年 サクラワインアワード審査員