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かつてあんこ好きの私の生徒さんが「一度でいいから虎屋の羊羹を一本まるごとかじってみたい!」と衝撃的なことを言いました。その言葉が忘れられず、「その至福って何?」と思い、当時、あらゆる和菓子屋の羊羹を食べ比べしてみたことがありました。そして、毎年ギフトでいただく虎屋の羊羹のネットリ具合は凄いのだと、再確認したのでした。
彼女のように、一本まるごと食べたり到底できない私は、近年の虎屋さんの個装の小型羊羹がありがたい。定番の「夜の梅」をいただいたら、今度は白豆を使った「はちみつ」味など、小豆あんと白あん、両方を交互に楽しめます。紅茶も抹茶入り新緑も風味はしっかり立っているのに、自然な香りなので、鼻につくこともない。このバランスはいつも素晴らしいなあと思います。
むきむきしてね!
艶やかなフォルムが出てきます!この艶は、丁寧に何度も練り上げている羊羹にしか出せないのです。
世界でグローバルな老舗の目
個装を虎屋さんが作られてから数年たちます。御菓子の個装は今では珍しくありませんが、当時、老舗の和菓子屋さんとして斬新だと感じたものです。
虎屋は海外でもオシャレなイベントを開催したり、ヨーロッパ向けにキューブ状に、まるでチョコレートトリュフのように販売したりと、老舗の名に甘んじず挑戦し続けています。
なんとパリに店舗を出して、今年で35周年とのこと。先駆的です。さらに、17代の御子息は国際結婚されていて、素晴らしいです。
手でも食べられるけれど、やっぱり風格ある和菓子は、お皿に出したい。
羊羹の羊の意味
羊羹は、中国から伝わったとされますが、菓子ではなく、羹(あつもの)というものでした。羊羹の羊の字は、とても縁起の良い字なのです。例えば、「養う」ですとか、「美しい」ですとか。ね!全て、「良い意味」なんですよ。
トラのマークもいろいろ楽しい
包装紙を改めて見ると、トラマークもいろいろあって、強面だったり、かわいらしかったり、表情豊かです。赤白というめでたい色目も日本で長く愛される色彩。
全てに工夫と挑戦としっかり味も店も守られる、企業として学ぶところも多いですね。
※掲載情報は 2015/11/02 時点のものとなります。
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キュレーター情報
(株)トータルフード代表/トータルフードプロデューサー
小倉朋子
(株)トータルフード代表取締役/亜細亜大学講師/「食輝塾」主宰/日本箸文化協会代表/農水省関東農政局食育推進ネットワーク幹事/ジャパンビアソムリエ協会マナー顧問/(社)エチケット・マナー協会理事
来世も再来世も食の仕事を!生粋の食マニア。トレンド、食文化、お取り寄せ、マナー、ダイエット、食育、伝統食…専門は広く、多角的に食の提案しています。どんなメニューも可能、店舗、食品関連のメニュー開発から一連のフードプロデュース多数。世界の食事マナーと食を総合的に学び生き方を整える「食輝塾」主宰。20年近く一度も同じ内容せず毎月開催を更新中!
●メディア
NHKラジオ番組3年以上レギュラー講師、日テレ「世界一受けたい授業」、テレビ朝日「芸能人格付けチェック」、はなまるマーケットなど出演、新聞、雑誌連載
●著書
『私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない』(文響社)、『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)、『愛される「ひとり店」の作り方』(草思社)、『「いただきます」を忘れた日本人』(アスキー新書)、『グルメ以前の食車マナーの常識』(講談社)ほか、ベストセラー多数