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オープン前からSNSで人気沸騰!
大阪に、オープン後2ヶ月経ったいまも行列が絶えないパティスリーが誕生しました。
2021年3月13日(土)大阪・中崎町にグランドオープンした「hannoc(ハノック)」さんです。
“パティシエをもっとクリエイティブに”との想いから、飲食専門の人材派遣会社(株)ドリームラボさんが立ち上げた、新スタイルのパティスリーです。
「hannoc」という店名の由来は、空気を構成している物質、窒素(N)酸素(O2)アルゴン(Ar)二酸化炭素(CO2)ネオン(Ne)ヘリウム(He)などの頭文字を組み合わせた造語。
「いろんなものが混ざり合って存在する空気のように、いろんな個性や可能性が集まって、みんなでこの場所を作っていきたい」という想いが込められています。
フランス語や英語の店名が出尽くした感があり、最近は造語の店名をつけられる方も多いですが、これまで見た中で一番複雑な造語かも!?
まず最も特筆すべきは、シェフ・パティシエというポジションがなく、パティシエが横並びで5名いるということ。
ホテルやパティスリーで経験は積んでいるものの、全員が20代という、本来であればシェフパテシィエに次ぐ次世代を担う年代。
あえてシェフというポジションは設けず、ピラミッド型のトップダウンではなく、全員が平等に決定権を持つ横並びの体制をとることで、互いに切磋琢磨し、一人一人が輝き活躍できる場を作り上げ、これまでの洋菓子業界に新風を巻き起こそうというのが狙いです。
グレーで統一されたデザイン性のあるスタイリッシュな店内には、写真映えするキラキラとかわいいケーキが並ぶショーケースや、こだわりのドリンク、焼き菓子の棚が並びます。
カッコいいバリスタさんが淹れてくれるかわいいラテアートや、オシャレ系ドリンクが人気を博しすぎて、パティスリーでありながらカフェ使いされる若者が多いのが嬉しい悩みでもあるそう。
店内中央にはガラス張りの厨房があり、パティシエたちがお菓子を作る様子をライブで見ることができるのも楽しみのひとつです。
お店の公式アカウント以外に、パティシエそれぞれが個人のTwitterやInstagramのアカウントを持っていて、個々に発信していくというのも特徴的。
SNSの人気、そして誰が考えたものかがお客さまに分かるお菓子の人気。
それによって「店」とともに、「個」にファンがついていくことになるわけです。
ある意味これは、シェフの元で一スタッフとして働くよりも、シビアな世界になるのかもしれません。
でもその切磋琢磨感すら楽しめ、自分のモチベーションを上げる糧にできる、そんなお店に成長してほしいなと思っています。
5人それぞれが考えるため、プティガトーの回転は速く、2週間ごとには新商品を登場させたいという意向。
そしてもちろん、お取り寄せブームも最初から念頭におき、焼き菓子以外に3アイテムがラインナップ。
生ゴーフレット、濃厚テリーヌ(サントメ産カカオ&スペイン産チーズ)と、今回ご紹介させていただく『中崎バターサンド -roku-』です。
ここ数年大人気のバターサンドですが、実はその昔、明治時代に考案されたものなのだそう。
ブーム到来以前は、某有名店に代表されるような、薄めのサブレにバタークリームとラムレーズンがサンドされた、ふた口サイズほどの長方形のルックスが一般的でしたが…
近年のブームでバターサンドは飛躍的進化を遂げ、形もフレーバーも、サンドする素材もバリエーション豊富になりました。
「hannoc」のフレーバーは、プレーンと抹茶の2種類。
プレーンにはダークラムに漬け込んだラムレーズンを入れ、より華やかな香りに。
抹茶には、国内最高品質の宇治抹茶が使用されています。
どちらもフランス産の発酵バター、フランス産小麦粉、砂糖、そして「作り手」。
厳選した6つの要素にこだわりたいという想いを込め、形は六角形に。
商品名にも-roku-と添えられています。
実はこちらのバターサンドは、“バターサンドの魔術師”として、私も数々のメディアでご紹介してきた大阪・京町堀「Seiichiro,NISHIZONO」の西園誠一郎シェフ監修。
まさかあの秘蔵レシピを教えちゃうなんて、西園シェフ太っ腹すぎます。
(「Seiichiro,NISHIZONO」のバターサンドとは、少し異なります)
バターサンドの肝とも言うべきバターは、フランス有数の酪農地帯ノルマンディー地方に位置するイズニーサントメール酪農協同組合の良質な発酵バターを使用。
バターがミルクから出来ていることを再認識できるような、ミルク本来のコクとクリーミーさが特徴です。
この最高級の発酵バターを使い、バタークリームをおいしく仕上げるポイントは、発酵バターと同量近くのアングレーズを加えること。
乳化ギリギリの量まで加えることで、口どけは良いのにコクのあるクリームに仕上げられています。
本当にギリギリの量なので、乳化が足りないと室温に戻すとすぐにクリームがだれてしまうのですが…
逆に通常はこんなにも大量のアングレーズは加えないので、ぼろつきのある口どけの悪いバタークリームに仕上がってしまったりもするわけです。
この乳化が、パティシエ最大の腕の見せ所です!
バタークリームにアクセントを加えるレーズンは、濃厚で香り豊かなダークラム マイヤーズラムに漬け込み、豊潤かつ後味にキレのあるフレーバーに。
この漬け込むラム酒の種類、期間によっても、バタークリームが全く別の表情に変化します。
抹茶は香り豊かな宇治茶を使用
江戸時代創業の老舗・放香堂の自社農園で栽培された香り高い宇治抹茶がふんだんに混ぜ込まれています。
そして隠し味に日本酒を。
抹茶の芳醇な苦みとのバランスを考え、角のとれたまろやかな甘みに仕上げる隠し味となっています。
さらに食感のアクセントとして、しっかりと食べ応えのある黒豆をプラス。
和素材の魅力がギュッと凝縮したフレーバーに仕上げられています。
サブレ生地は、フランス産小麦粉と発酵バターを人の手で均等に練りこむことで、サクサクでほろほろした食感に作り上げられています。
このサブレ生地をおいしく仕上げるポイントも、しっかりと生地を乳化させること。
これにより、ホロホロとした歯切れの良さが生み出されるのです。
サブレを六角形にくりぬくと、生地に大量のロスが出てしまうのでは!?と思ったら、こんな秘密兵器を使用されていました!
もちろんオリジナルの、六角形が沢山取れる抜き型です。
さらにこのようなオリジナルのハンコ型で、サブレ生地にロゴの模様をプレス。
このアイデアが、なんとも斬新で素晴らしいですよね。
ハンコの押し具合によって、模様に若干の違いが出てくるのが逆に表情となり、愛着がわいてきます。
hannocのお取り寄せアイテムの顔とも言える『中崎バターサンド -roku-』。
繰り返しになりますが、最大の魅力は、発酵バターを100%使用した香りと口どけの良いバタークリーム。
発酵バターとアングレーズソースとのベストな乳化により、食べ進めても全く重く感じることはなく、また隠し味に加えるお酒により、バターリッチでありながらも、後味はキレよく仕上げられています。
このちょっとリッチなこだわりバターサンドは、自分へのご褒美にも大切な方への贈り物にもおススメの逸品。
コーヒーや紅茶はもちろん、シャンパンやウイスキーなどのお酒との相性も抜群です。
製菓業界に新風を巻き起こす!?新しいスタイルのお店のコンセプトとともに、ぜひお愉しみください。
※掲載情報は 2021/05/13 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スイーツコーディネーター
松本由紀子
スイーツコーディネーター&ライター。
一般雑誌、菓子専門誌、TV、ラジオ、webサイトと多岐にわたり、ライター&コメンテーターとしてスイーツ情報を発信。スイーツ関連メーカーのコンサルティングを務め、商品開発、コラボ商品の企画、マーケティングに携わる。スイーツ講座(定期/単発)の講師も務める。
10名のパティシエの珠玉の一品!を集約したDVD 『Sweets美術館』をプロデュース&出演。
http://www.amazon.co.jp/Sweets美術館-2012-松本由紀子/dp/B00BPJSFF2
百貨店催事やイベントをプロデュースし、「スイーツコーディネーター松本由紀子セレクション」なる冠催事を展開。
*2012年11月~:フランスフェアー@JR大阪三越伊勢丹
*2014年2月:サロン・デュ・ショコラ@JR大阪三越伊勢丹
*2015年2月:アムール・デュ・ショコラ@大阪高島屋
*2015年10月~:松本由紀子セレクション@阪急うめだ本店
ORIGINE KOBEの広報を務める。
http://r.gnavi.co.jp/ippin/article-2060/