醤油と八角が染み込んだ鶏の丸焼きをかぶりつく幸せ

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醤油ベースのたれが、中までしっかり染み、八角の香りもほのかに漂います。

醤油と八角が染み込んだ鶏の丸焼きをかぶりつく幸せ

20代後半、俳優の友人と2年ほど共同生活をしていました。彼は身体を鍛えることが大好きで、暇をみつけては筋トレをし、筋肉には鶏肉がいいんだといって、鶏のささみばかり、食べていたように思います。あれから20年ほど経つのですが、今でも鶏肉を見ると彼を思い出すことがあります。
先日、アフリカの旅でお世話になった方と茨城県坂東市で飲んでいると「石下(常総市)に美味しい鶏の丸焼きの店があってね」とお土産を持たせてくれました。「クロサワ」と書かれた渋い紙袋は、ずっしりと重く、中をのぞくと首のない鶏が、そのまま入っていました。
自宅に戻り、大皿の上に載せ、冷蔵庫からビールを取り出し、一眼レフで写真を撮るのも忘れ、すすりながら、しばらく眺めておりました。丸焼きを間近に見るということは意外にないものですよね。
丸焼きの造形を堪能した後、豪快に手でむしり取り、かぶりつきました。醤油ベースのたれが、中までしっかり染み、八角の香りもほのかに漂います。ビールにもよく合う。
しかし、問題がありました。この日は自宅は僕だけ。一人で食べるには量が多いのです。
久しぶりに20代の頃、一緒に住んでいた俳優の彼の顔が浮かんだのです。彼なら豪快に食べきってしまうだろうなぁ。久しぶりに彼の活動をネットでチェックしてみたら驚きました。俳優だけではなく、プロレスラーとしてもデビューしていたのです。胸の筋肉は一緒に住んでいた20代の頃よりも盛り上がり、鶏の丸焼きを、そのまま、かじっても似合いそうなメイクをしていました。近いうちに飲みに行こうと思います、この丸焼きを持って。

若鶏丸焼

クロサワ 〒300-2707 茨城県常総市本石下3050 TEL: 0297-42-3362

※掲載情報は 2018/09/20 時点のものとなります。

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キュレーター情報

イシコ(石原英一)

旅行作家・エッセイスト

イシコ(石原英一)

1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科卒業後、大道芸を使った子供ショーをしながら全国を行脚する生活を10年程続ける。2003年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。5年間限定で国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動や環境教育を行う。一方、女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を経て、「MONOマガジン」や「散歩の達人」などに連載を持つようになり、エッセイストとしての活動を始める。2008年から2009年まで「SKYWARD」、「SANKEI EXPRESS」、「nakata.net」など新聞、雑誌、WEBに「旅」や「食」をテーマにした連載やブログを持ちながら世界一周。
帰国後、岐阜県安八町に移住し、ヤギと暮らしながら、「旅」と「散歩」をテーマにWEB、書籍、テレビ、講演、商品プロデュースなどを通して表現している。著書に「世界一周ひとりメシ」(幻冬舎文庫)、「世界一周ひとりメシ in JAPAN」(幻冬舎文庫)、「世界一周飲み歩き」(朝日文庫)がある。

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