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食前酒として愛されるマスティカ
バルカン半島で3世紀以上愛されている蒸留酒「マスティカ」というお酒をご存知でしょうか。マスティカとは、もともとはギリシャのヒオス島のみで採れるマスティハ(マスティック)と呼ばれる、樹木からの樹液が語源と言われています。ギリシャではウーゾ、トルコでラキと呼ばれるこのお酒、ボトルに入っている時は、無色透明なのですが、コップに注いで、氷を入れた瞬間に白く濁る不思議なお酒なのです。また、冷蔵庫に入れると、結晶になりダイヤモンド・ダストのようにキラキラと輝きます。なぜ、白濁するかというと風味付けに使用されるアナソン(アニス、松脂)の香料が水に反応する事が原因なのですが、色が変わるお酒は世界中でも珍しいのではないでしょうか。
ブルガリアでは、食前酒にアルコール度数が高いものを飲み、食事の途中から食後にかけて、段々アルコール度数を下げていきます。「マスティカ」も食前酒として飲まれる事が多く、アルコール度数47%以下のものは「マスティカ」とは認められません。ヨーグルトを水で薄めたものに塩で味付けした「アイラン」がチェイサーとして、とてもよく合います。
マスティカは、ブルガリアの蒸留酒「ラキア」と並び、とても人気がある飲み物です。色が変化するマスティカは来客の際のサプライズにぴったりのお酒だと思います。
※掲載情報は 2016/12/24 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ブルガリア共和国大使館
ブルガリアはバルカン半島に位置し、北はルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東には黒海があります。北海道より少し大きい国土で、首都はソフィアです。香水用のバラ栽培が世界最大産地ということでも有名です。ブルガリアの食でみなさんはヨーグルトを連想する人が多いと思いますが、さまざまな民族の食文化の影響、特にトルコ、ギリシャ、ルーマニア料理との共通点が多いです。また、良質なワインの産地としても有名です。