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熊本が誇る、伝統的な郷土菓子
4月に熊本県・大分県に起きた地震から、半年が過ぎました。被害に遭われた被災地域の方々に、心よりお見舞い申し上げます。
私も心ばかりの復興支援になればと、熊本や大分県産の食品を選んで購入するようにしていますが本当においしくて、はからずも改めてファンになってしまったところです。
熊本といえば芋焼酎で名高いその名も”薩摩”の鹿児島とともにさつまいもの特産地で、その味にも定評があります。以前熊本に行ったとき、「いきなり団子」という一度聞いたら忘れられないような名前の郷土菓子に出会ったのですが、これも「こしあん」をのせた「からいも」(さつまいも)を小麦粉の薄皮で包んで蒸した、おいしいお菓子でした。
いきなり団子を、熊本弁では「いきなりだご」といいます。もともとは、一般家庭で伝統的に作られてきたおやつだったそうです。素朴で簡単に作れて、急な来客でも「いきなり」出すことができるから、というのが名前の由来で、団子の中身を割ってみると、いきなり(笑)さつまいもとあんこが出てきてちょっとびっくりします。
いきなり団子は熊本名物として県内のみやげ物店などでも販売されており、私はJR熊本駅に店舗を構える長寿庵さんで購入しました。
蒸し器からたちこめる団子の湯気が何とも食欲をそそり、熊本県一の生産量を誇る大津町産からいものホクホクとしてなめらかな食感や、こしあんと合わせた自然な甘みがとても美味。東京に帰ってきてから他所の類似品を食べてみたのですが、熊本の味にはかないませんでした。
長寿庵さんでは、全国配送も行っています。上写真の白いきなり団子のほか、東京・銀座にある熊本館で行われた「いきなり団子選手権」で第1位になった黒糖入りの黒いきなり団子や、紫いもを配合した紫いきなり団子があります。
熊本が誇るふるさとの味を体験しながら、1日も早い復旧を祈念したいですね。
※掲載情報は 2016/10/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
各国・郷土料理研究家
青木ゆり子
雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。
地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。
「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。