「ピッツァはイタリアと日本を結ぶ」。日伊の職人によるピッツァの競演

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第3回世界イタリア料理週間の関連イベント

11月 19日から26 日まで、イタリア外務・国際協力省などが一丸となった世界規模による「世界イタリア料理週間」が、日本でもイタリア大使館、イタリア文化会館を中心に全国規模で行われました。

 

期間中は、イタリアのチーズやバルサミコ酢、蜂蜜、オリーブオイルなどのセミナーのほか、写真展、イタリアの食文化に関する書籍紹介などの催しが登場。最終日の26日には、マンマの味に代表される伝統的なイタリア料理に変革をもたらし、洗練された「ヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナ」(新イタリア料理)の礎を築いたイタリア料理界の巨匠シェフ、グアルティエロ・マルケージ氏のドキュメンタリー映画の上映会が、イタリア文化会館で開催されました。

 

今年で第3回を迎える世界イタリア料理週間ですが、今回は2017年に惜しまれつつ世を去った功労者のマルケージ氏を偲び、称える目的で、日本でもジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使閣下のもと、イタリア関連団体が官民一丸となった並々ならぬ熱意を感じました。

 

もちろん、来年予定されている日EU経済連携協定(EPA)締結を意識してのこともあるかもしれません。しかし、「豊かな地方色や、地方ごとの伝統食品を大切にしてきた」日本とイタリアの共通点にイタリアの人々が親しみを持ち、お互いに高め合っていきたいという思いもひしひしと伝わってきたのでした。

 

そんな熱い想いもあってか、今年の日本でのイタリア料理週間は、昨年以上の大成功を収めたと聞いています。

ピッツァはイタリアのもの

イタリアには現在20の州があり、中世以降からおよそ150年前までは小国に分裂していました。今でも州ごとの特色がはっきりしていて、人々が自分たちの生まれ育った州の食品に愛着が深いのはそのためです。

 

一方で、イタリア全土で共通して食べられている料理のひとつといえば「ピッツァ」。特に、1861年に建国されたイタリア王国の第2代国王であるウンベルト1世と王妃マルゲリータがナポリを訪れた際に作られたという「ピッツァ・マルゲリータ」は、トマトソースの赤、モッツァレラチーズの白、バジルの葉の緑がイタリアの国旗色を表現し、今ではナポリ・ピッツァの代表格であるとともに、国民食のようにイタリア人に愛されている食べ物でもあります。

 

世界イタリア料理週間の期間中の23日には、「イタリアと日本のピッツァ」という、ピッツァを称える催しがイタリア大使館で開催されました。

 

この催しは、新・旧両派を代表する日本とイタリアの凄腕ピッツァ職人が焼いたピッツァ・マルゲリータをはじめとするナポリ・ピッツァを試食しながら、イタリア関係者やフード・ジャーナリスト、食品・飲料関係者ら200人のゲストとともに意見交換の促進を目的としたもの。

 

「ピッツァはイタリアと日本を結ぶ」というテーマのもと、会場は始終なごやかな雰囲気で、「ピッツァはイタ

リアのもの。ピッツァは人と人を仲良くする食べものです。日本のみなさん、これからはピザといわず”ピッツァ”といいましょう」というスタラーチェ大使のお言葉にもピッツァへの愛があふれていました。

 

ところで、ベスビオス火山とナポリ湾を望むナポリ市、錦江湾と桜島を望む日本の鹿児島市は風景がとても似ていて、その縁で1960年から姉妹都市関係にあり、ピッツァを通じた交流も盛んなのだそうです。

「ピッツァはイタリアと日本を結ぶ」。日伊の職人によるピッツァの競演
「ピッツァはイタリアと日本を結ぶ」。日伊の職人によるピッツァの競演

↑スタラーチェ大使と、日伊の凄腕ピッツァ職人たち。

家庭で焼くモチモチのピッツァ

シンプルなピッツァは、食材の品質に加えて、こね方や焼き加減などの職人技がものをいう食べものです。本場のピッツァは高温で一気に焼くレンガ製の専用窯を用い、日本のイタリア・レストランでもこのピッツァ窯を導入しているお店が少なくありません。

 

今回のピッツァの催しのあとに感化されて(?)、どうにかしてモチモチのおいしいピッツァを家庭で作れないものかと考え、ちょっと実験してみました。

 

まずは小麦粉。イタリアの「サン・フェリーチェ」ブランドのピッツァ専用小麦粉”ゴールド”は粒子が細かく、たんぱく質を多く含んで、長時間の発酵にも耐えられる一品。イタリア大使館でのイベントでも使用されていました。この小麦粉の生地を、ナポリ・ピッツァの正統レシピに従って、ていねいにこねて低温で長時間発酵させます。これだけで、通常の小麦粉と比べてしっとりとモチモチ感が違ってきます。

 

またチーズは、コクのある水牛のモッツァレラ(モッツァレラ・ブッファラ)を使用し、調理器具は、ガスコンロに付属した魚焼きグリルを。オーブンよりも高温になり、ピッツァ窯により近い条件で焼けます。また調理に少し心得のある方なら、仕上げにガスバーナーでピッツァ生地のフチを焼くのもおすすめです。

 

プロの職人さんの作ったピッツァにはもちろんかないませんが、どうしても家庭でピッツァが食べたくなったときにお試しください。

「ピッツァはイタリアと日本を結ぶ」。日伊の職人によるピッツァの競演
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↑自家製ピッツァ・マルゲリータ。

※掲載情報は 2018/12/12 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青木ゆり子

各国・郷土料理研究家

青木ゆり子

雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。

地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。

「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。

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