ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰

ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰

記事詳細


紹介している商品


アク抜きも缶璧

ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰

これは東信食品工場が作っている「味わらび」というわらびの缶詰。山菜の缶詰は珍しいと思うかもしれないが、東北地方ではわらびやぜんまい、うど、きのこなどの缶詰が昔から作られている。旬の時期にたくさん採れる山菜を加工して、一年を通して食べられるようにするのは、フルーツや魚などほかの缶詰と同じことであります。

 

わらびは日当たりのいいところに生えるから、素人でも簡単に採れる。しかし採るのはいいが、そのあとのアク抜きが面倒。だからアク抜きして味付けした加工品が便利なのだけど、本当に美味しいものがなかなかない。よく温泉地などで、真空パックに入ったわらびが売られているが、味付けが濃すぎるうえに食感もよろしくないのが多いと思う。また、そんなわらびを使った山菜そばを出す店もあるが、あれはむしろ「この山菜どけてくれ」といいたくなる。

 

そんなものより、この缶詰のわらびを使った方がずっと美味しい。山菜のプロが作っているからアク抜きも缶璧(かんぺき)だ。

素材の味が生きている

ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰

味わらびは、太くて柔らかい極上のわらびを国内外から取り寄せて使っている。もちろんすべて放射線検査済みだ。ていねいにアク抜きしたうえで、素朴なしょうゆ味をつけている。だから汁気を切って皿に盛りつけ、かつおぶしをまぶすだけでも美味。表面はさくりと歯切れ良く、中はぬるりとして、わらび独特の食感が味わえる。こんな食感が缶詰で味わえるなんて、驚くべきことである。

 

原料はわらび、しょう油、みりん、調味料、PH調整剤のみ。素材の味を生かすために、最低限の味付けだけにしている。

極上の山菜そばを味わう

ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰

かくのごとし。

 

しっかりと味がついているので、こうして熱々そばに乗せるだけで美味しい山菜そばになる。もしあなたがわらび好きなら、好きなだけトッピングすればよろしい。何しろこの「味わらび」缶はフルーツ缶と同じ大きさで、わらびだけの固形量で240g入っているのだ。

 

東信食品工場は福島市内にある。福島の名産品、桃を使った缶詰製造でスタートしたという。しかし2011年の東京電力福島第一原発事故のおかげで風評被害に遭い、いまだに大変な苦労をしている。取り寄せる原料はすべて放射線検査済みのものだけにし、さらに工場で加工したあとも、放射線検査機を通してから出荷している(工場の水が汚染されていると誤解する人がいるため)。

 

そのために自社で放射線検査機を導入したというが、もし原発事故などなければ無用な出費だったはずだ。また、缶詰にはQRコードが貼られていて、それをスマホなどで読み取ると、放射線検査日のほか測定値、測定方法、わらびの生産地などが表示される。今回の撮影で使った缶詰のQRコードを読み取ると、セシウム137(134)は未検出、生産地はロシアと表示された。

 

風評被害というのは、もともと害のないものに悪評がつくこと。一刻も早くこんなことが治まればいいと願うばかりであります。

 

ごちそうさま!

※掲載情報は 2016/04/14 時点のものとなります。

  • 4
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
ハリとぬめりが最高。旬の食感が味わえるわらびの缶詰
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

黒川勇人

缶詰博士

黒川勇人

昭和41年福島県生まれ。平成16年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから"缶詰博士"と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
著書は『おつまみ缶詰酒場』(アスキー新書)、『缶詰博士・黒川勇人の缶詰本』(タツミムック)、『缶づめ寿司』(ビーナイス)、『日本全国ローカル缶詰 驚きの逸品36』(講談社プラスアルファ新書)『缶詰博士が選ぶ!「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社プラスアルファ新書)、『安い!早い!だけどとてつもなく旨い! 缶たん料理100』(講談社)など。小曽根マネージメントプロ所属。
お問い合わせ Mail:k-k@kosone-mp.com

次へ

前へ