赤酢=粕酢好き!中でもこれが一等賞「雑賀吟醸酢」

赤酢=粕酢好き!中でもこれが一等賞「雑賀吟醸酢」

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吟醸酒の酒粕、純米酒、そして木桶で発酵、旨みたっぷりの奇跡の酢

私が調味料の現場をまわろうと思ったきっかけは、忘れもしない、ほれ込んだバルサミコ酢の蔵を見たいがために、イタリア、モデナのちいさな蔵へ行ったことでした。そこで、気が遠くなるような年月と手間と知恵に、愕然とし、はて、日本の調味料は?どうなっているのか?と思ったのです。


そして、今回ご紹介するのは、私がほれ込んだ、ニッポンの酢。


和歌山の蔵も訪ねました。モデナより近い、笑。


私は、酢がそもそも大好きです。わが家の酢の消費量もとても多い。特に米酢(粕酢もふくめて)は、酸味(酸度)は優しく、甘み、旨味は深く、酸っぱさ以外の美味しさがとても重宝な調味料です。中でも、最もたくさん使っているのがこの、吟醸酢です。これまで、酢が苦手という方にも、プレゼントし、すべての人が大好きになった(当社比)、私のいち押しの酢です。年末からお正月の料理でもちらしずしや、酢のものなど、出番が多くなると思います。腕は急には上がりませんが、調味料を変えると、ぐっと料理が変わります。なにげない料理を下支えする力がある、酢です。

 

「雑賀吟醸酢」(九重雜賀)

 

酢は、ワインビネガーだろうが、リンゴ酢だろうが、すべて酢酸菌による発酵調味料です。日本を代表する酢は、米を原料とした米酢(白酢と呼ぶ方も)、酒粕を原料とした粕酢(赤酢)のふたつかと思います。


赤酢系か、米酢系か?(JASの分け方とは違います。)

 

今回、ご紹介するのは、前者、赤酢・粕酢です。 この粕酢、最初に“発明”し、日本の酢とすしに革命を起こした、それがミツカンさんです。(今度、こちらのお気に入りもご紹介しますね)。

 

それまで、もろみで作る米酢は、日本酒と同じですから、とても高価なものでした。しかし、江戸時代、ミツカンさん(当時は酒屋さん)が酒粕から酢を作ることに成功します。当時の酒粕は、いまほど完全に絞っていなかったので、充分に発酵させる要素が残っていると気付いたわけです。これが、酢を身近なものにし、それまでの熟れ寿司から、いわゆる今につながる江戸前寿司を生み出し、大流行させたと言われています。今も、江戸前寿司では、赤酢・粕酢を使う店が多いわけです。


私は、この赤酢・粕酢が大すき。赤酢は、その名の所以の琥珀というか金色ですから、どうしても色をつけたくない(正月の紅白なます)ときは、米酢を使いますが、日々のベースは粕酢を使っています。


粕酢の味の特徴は、優しい酸味、まろやかさ、コク、そしてなにより旨味だと思います。旨味の理由は、その作り方にあります。実は、ただ酒粕を使うのではなく、まず、酒粕を長期熟成させるのです。この熟成中にアミノ酸が増え、うまみ成分が倍増します。ここに、アルコールを添加し(酒粕の状態やメーカーによる)、種酢(各蔵の)を加えて、酢酸発酵させます。

 

で、この雑賀吟醸酢、原料の酒粕は、雜賀さんみずからがつくる山田錦の純米大吟醸酒の酒粕。(詳しく書きたいけど、文字数ないからはしょりますが、いい酢をつくるために、日本酒も作り始めた雜賀さん。ご親戚が雜賀さん用に作る米でつくるこだわりの日本酒です。)

 

そして、雑賀さんではこれを約2年、熟成させています。私が仕込みを見に行った時は、2年半ほど熟成したものが使われていました。味見したら、なんとも奥深い味で感動。これが既に美味しい。

 

さらに添加するアルコールは、自らが作る、吟醸酢用の、純米酒というこだわり。そしてもちろん、静置発酵です。静かに、代々つかわれてきた木桶で、発酵、熟成させます。


そう、静かに置いて発酵させる・・・お手元の酢を見て下さい。もし、静置発酵と書いていなかったら、多くの場合、機械を使って下から空気を入れて1日で一気に発酵させている(全面発酵)酢です。(ここは大きな味の差です!静置発酵のモノを、まずは選んで。)


雜賀さんは、装置産業と言われる蔵が命の仕事ながら、蔵の移転を余儀なくされるなど、ドラマがある蔵。とはいえ、代々守ってきた木桶と、雑賀菌だけは守りぬき、今に至っています。


雑賀吟醸酢は、そのままかけるだけでも、味の違いに感動するかと思います。また、ただ、にんじんを炒めるだけ、卵をきくらげと炒めるだけ、なんてときに、ぜひ、ひと振りして下さい。


炒めることで、程良く酸味が飛び、炒め物に、旨味がぐっとはいります。まぜごはんやちらしずしも、酢が違うとこんなに違うのか?とびっくりすると思います。


私はいつも、すべての調味料は味が違う、と言っていますが、酢も、本当にいろいろ。もしこれまでこだわっていなかったら、この機会に、まず、自分は赤酢・粕酢が好きか?白酢(すっきりとしていて、甘みがある)が好きか?そのあたりから気にしてみるのもいいかと思います。


そのこだわりはじめの1本にもおすすめです。


また、クリスマスやお正月はまもなく。急に腕をあげるのは大変なので、腕はなくても、ぐっと料理がおいしくなる、おいしい調味料を用意してみてはいかがでしょうか?


酢と醤油と塩を変えたら、年末年始はぐっと美味しい日々になります!

 

http://rikoskitchen.com/2015/03/%E9%86%A4%E6%B2%B9%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E3%80%81%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%81%B8%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E8%A3%BD%E6%B3%95%E3%81%A8%E7%89%A9/

※掲載情報は 2015/12/15 時点のものとなります。

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キュレーター情報

山脇りこ

料理家

山脇りこ

主宰する代官山の料理教室リコズキッチンや、雑誌や書籍を通じて、和食をベースに現代のモダンなエッセンスを加えた家庭料理を、“作る楽しみ”を大切に、日々提案している。食材から味をひきだし、調味料は基本のものを最小限に、ひと手間は惜しまず、調理はシンプルに、という引き算の料理が得意。全国の伝統的な製法を守る醤油・酢などの蔵をまわり『調味料の教室』やWEBで紹介、発信。ライフワークとして『だしの教室』も続けている。農林水産省の 「 和食の保護・継承に向けた検討会 」 委員(平成27年)。料理本のアカデミー賞と言われるグルマン世界料理本大賞2014でグランプリ受賞。 『かけこみおだし塾』(講談社/日本図書館協会選定図書) 『かる塩・かる糖料理帖』(小学館) 『ていねいに仕込んで食べる 1週間のつくりおき』(ぴあ)など著書多数。アメリカを中心に『Banzai Banquets: Party Dishes that Pack a Punch』(Vertical社/講談社刊のおもてなし本の英訳)も刊行されている。

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