銀座木挽町で108年、老舗和菓子店の「おとし文」

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銀座木挽町で108年、老舗和菓子店の「おとし文」

ほろりとした口溶けのよさと上品な甘さの看板商品

私は今年の11月で満92歳になります。さすがに若い頃のようにはいきませんが、今も現役の食生活ジャーナリストとして活動しており、取材を受けることもしばしば。ここ数年は、「健康で長寿の秘訣は?」とよく聞かれます。食生活はもちろんですが、私は、好奇心を持ち続けることが大切だと思っています。もともとの性格なのか、料理記者として培われたものなのかは分かりませんが、私は好奇心が人一倍強く、パーティーでも個人的なお誘いでも、とにかく、呼ばれればどこへでも飛んでいくので、家族から「お出かけオバサン」といわれることもあるほど。ですから、趣味を聞かれてもたくさんありすぎて困ってしまうのですが、歌舞伎を見るのは趣味のひとつといっていいかもしれません。

 

中村獅童さんのお母様と親しかったこともあり、彼が歌舞伎座や新橋演舞場の舞台に立つときは、必ずといっていいほど見に行きました。歌舞伎の帰りによく立ち寄るお店が、新橋演舞場からほど近い老舗の和菓子店、「清月堂本店」です。創業は1907年(明治40年)。初代・水原嘉兵衛氏の作る水羊羹や葛桜などの生菓子が評判で、以来、季節の和菓子が人々に愛され続けてきました。初代から受け継がれているこの店の心得は、「先代に甘えることなく、代々自分のお菓子を持つこと」。そこで、二代目の清一氏は半生菓子「江戸好み」、三代目正一朗氏は「おとし文」、現在の四代目康晴氏は焼菓子「蓬の峰」を創作し、中でも、黄身餡をこし餡で包んで蒸した「おとし文」は、店を代表する商品になっています。和三盆を使用した餡は上品な甘さで、口の中でほろほろと溶けていくような繊細な味わいが楽しめます。通年購入可能な定番の「おとし文」のほか、季節に応じて、桜の花入りの「麗」、抹茶入りの「萌」といった「旬のおとし文」もあります。

銀座木挽町で108年、老舗和菓子店の「おとし文」
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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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