著名人も愛した香ばしい焦がし皮のもなか

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予約なしでは手に入らない銀座名店の逸品

著名人も愛した香ばしい焦がし皮のもなか

「空也」は、東京・銀座の並木通りにある老舗の和菓子店。決して派手な店構えではありませんが、看板商品の「空也もなか」は、予約なしではなかなか手に入らないほどの人気で、銀座の名店としてその名を知られています。

 

創業は1884年(明治17年)、当初は上野池之端に店がありました。当時の池之端といえば、数多くの文化人が暮らしていた場所。「空也」を贔屓にしていた著名人も多く、夏目漱石の作品にもたびたび「空也」の和菓子が登場します。池之端の店は第二次世界大戦で焼失、その後、1949年(昭和24年)に現在の場所に移りました。以来60年以上、全て自家製で和菓子を作り続けています。「空也もなか」は、くびれのあるひょうたん型。「空也」ならではの焦がし皮に、ていねいに仕上げられた小豆のつぶしあんがたっぷり入っています。

 

できたては皮のパリパリッとした食感が楽しめますが、1日ほどおいて、皮とあんがしっとりとほどよくなじんだころにいただくのも美味。1日に作る量が限られているため、予約分だけで売り切れてしまうことがほとんど。購入するには、予約が必要です。取り寄せや配送もできません。東京以外ではなかなか味わえないものですから、私は、地方から友人が訪ねてくるときに合わせて買い求め、少し濃いめにいれた日本茶とともにお出ししたり、お土産として持って帰ってもらうようにしていました。

 

また、いまから16年前になりますが、1999年(平成11年)の10月、私が77歳で喜寿、姉の尚道子が80歳で傘寿だったことから、寿が重なるという意味で「重寿の会」というパーティーを開き、みなさんにお祝いしてもらいました。このとき、手土産として、「空也もなか」をお配りしたこともありました。手に入れるのに少し手間はかかりますが、それだけの価値のある逸品です。

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空也もなか

空也 東京都中央区銀座6丁目7-19

※掲載情報は 2015/09/06 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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