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ごはんのおともや酒の肴に、奥深い味わいの京の逸品
「そうだ 京都、行こう。」という鉄道会社のテレビコマーシャルを見ると、いつも、亡くなった主人のことを思い出します。私と主人は、暮れも押し詰まった12月28日に結婚式を挙げました。何かと気ぜわしい時期ですが、この頃になれば仕事も一段落しているので、毎年、結婚記念日には夫婦揃って一泊で京都に出かけるのが恒例でした。京都に行くと必ずといっていいほど買い求めた手土産が「ちりめん山椒」です。軽いのでたくさん買ってもそれほどかさばらず、炊きたてのごはんのおともや酒の肴としてそのまま手軽に食べられるので、どなたにも喜ばれたものです。京都には「ちりめん山椒」のお店が数多くあり、選ぶのに迷ってしまうほどですが、お店によってそれぞれ味に個性があるので、「あの方は薄味がお好きだからこの店にしよう」などと、差し上げる方の顔を思い浮かべながら選ぶのも楽しみのひとつでした。私が自宅用に好んで購入したのは、下鴨にある「すぐり」の商品です。この店には、ちりめんじゃこと実山椒をあっさりと上品な味つけで炊きあげた「ちりめん山椒」に加え、甘辛く濃厚な味でじゃこがアメ色になるまでじっくりと煮込んだ「ちりめん佃煮」もあり、佃煮好きの私としては、どちらも楽しめるのが魅力。「すぐり」の「ちりめん山椒」と「ちりめん佃煮」は、祇園の割烹で長年料理長を務めた初代、村主完次さんのこだわりの製法を家族で守り続けており、作り置きは一切せず、デパートやスーパーなどでの販売も行わないなど、「知る人ぞ知る京の逸品」として全国の食通に愛されています。みなさまもぜひ一度お試しください。
※掲載情報は 2015/07/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食生活ジャーナリスト
岸朝子
大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。