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ポルトガル渡来の金平糖、ここに極まれり。
金平糖がポルトガルから日本へもたらされたのは1546年、異国の品々の中でも一際美しく人目を引いたそうで、当時は非常に珍重され製造法はいっさい秘密だったとのこと。宣教師より織田信長に贈られたことも記録に残っており、たいそうお気に入りだったとか。当時そもそも砂糖や砂糖菓子は大変貴重なもので、やんごとなき貴人様へ献上されるものであり、慶事の引き出物やお祝い菓子とされるものでした。今でもその伝統は世の東西変わりなく庶民にまで継承されていて、つくづく感心します。眺めれば素朴で可愛らしい姿の金平糖ですが、この金平糖づくり一筋の専門店は日本にただ一軒しかなく、それが京都・百万遍にある創業弘化四年(1847年)の緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)です。
これまで新聞、雑誌、TVなどで折りに触れご紹介させていただいており、ようやく私が直接伺えたのは今年のGWを過ぎた通常の日曜の午後でしたが、店内はお客様でひしめきあっていました。本店で究極から特選もの、また季節や歳時限定のもの、高級風趣献上品、茶道専用、小袋全種詰め合わせなど、関連容器まで含め一堂に拝見できるのは圧巻でした。しかもその1種類が金平糖として完成するまでに16~20日間かかり、元来レシピはなく、大きな釜と職人が向き合い一子相伝のその独自の技術習得にまず20年を要し、さらに試行錯誤の末、常識では天然素材を加えると結晶しないといわれた砂糖から、これほどまで自然な風味と色彩の金平糖を約60種以上も創り出し続けているという、気の遠くなるような道を歩んできたお菓子なんですね。
私は旅行者としてお邪魔したので本店では濃茶のものとばななの金平糖、そして金平糖の携帯ケースのみ購入し、帰ってすぐにお取り寄せをしようと電話したところ、7月から販売されるガラス徳利桐箱入りの究極の梅酒の金平糖はすでにキャンセル待ちで、今年が無理な場合は自動的に来年の7月渡しとなりオーダー分出来次第、ご連絡いただけるとのこと。その旨了解し11月より配送される日本酒と小袋詰め合わせ(蜜柑、檸檬、めろん、苺、巨峰、天然水サイダーの6種)と「黄金のシャンパン」とも言われる、希少なジャージー牛乳から作られたパッケージもユニークな牛型のミルクの金平糖を注文したのでした。
こちらのミルクの金平糖は香りも味もコクがあってとってもミルキー、口当たりも柔らかめで、ホロホロっとくずれ溶けていくようでした。まろやかな甘さといい、お子様や女性、お年寄りの方にもぜひお勧めです。男性のお客様には、天然水サイダーやパインが特に人気だそうで電話注文の際、品薄になっていることもあり、お早めのお問い合わせをどうぞとのことです。
京都金平糖 緑寿庵清水
営業時間 10:00~17:00
定休日 水曜・第四火曜定休(祝日は営業)
〒606-8301 京都市左京区吉田泉殿町38番地の2
TEL 075-771-0755 FAX 075-771-0766
※掲載情報は 2015/08/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ギフトコーディネーター
冨田いずみ
広告、映像および音楽制作プロダクション業界に従事し、コピーライター、プランナー、プロデューサー業を経験しフリーに。食品・ファッション・インテリアなど多岐に渡る商品を紹介していく中で、メディアやメーカー、ショップからのギフト需要に応える機会が増え、様々な場面や人にふさわしいギフトを選び提案する「ギフトコーディネーター」としての仕事が定着。
■メディア実績
【新聞】
日経PLUS1、日経新聞、東京新聞、朝日新聞、読売新聞など
【テレビ】
NHK「あさイチ」フジTV「ノンストップ!」「スーパーニュース」日本TV「サタデーバリューフィーバー」、テレビ朝日「お願い!ランキング」など
【雑誌】
日経おとなのOFF、AERA、販促会議、週刊文春、週刊朝日、CREA、ミセス、25ansウェディング、Grazia、GLAMOROUS、Oggi、THE21、JJ、DIME、steady.、Gainer、MORE、an・anなど多数
【著書】
「センスがいいと思われる 贈りもの美人の作法」KADOKAWA