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パリ名店の味を再現するべく完成させた至高のエクレア
週末ともなると、お店の外に行列ができる名古屋の人気店「シェ・シバタ」で、それは味わえる。 薄く3層に絞った生地を焼き、ひっくり返してフォンダンをかけ、表面3か所にシャラント産のバターを乗せ、ゲランドの塩をふる「エクレール・キャラメル・ブール・サレ」だ。塩キャラメルの極意がお菓子で味わえてしまうのだ。オーナーの柴田シェフは、今は閉店してしまったパリの名店「モデュイ」で食べたエクレアが忘れられず、試行錯誤して自分の理想のエクレアをつくったという。
本店は、20年前にオープンした岐阜県多治見市にあるが、8年前に名古屋店をオープン。すると、以前は閑散としていた日泰寺参道が、たちまちのうちに賑わうようになった。ショーケースには、真っ赤なハート型やアーミー柄など、エッジのきいた独特なデザインの生菓子が並ぶ。
エクレアはフランス語でエクレールというが、意味は電光石火。電光石火のように素早く一口で食べられるように考案されたということだが、いえいえ、柴田シェフのエクレアは、そんな一瞬で食べてしまってはもったいない。クリームと生地、そしてそれらを包みこむバターとゲランドの塩の味のハーモニーをじっくり感じていただきたいippinである。
※掲載情報は 2015/03/13 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フランス菓子・料理研究家
大森由紀子
学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。