【クローズアップ】料理研究家ではなく料理教師。中村奈津子

【クローズアップ】料理研究家ではなく料理教師。中村奈津子

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田中伶子クッキングスクール校長 中村奈津子さん

料理教師として、母が立ち上げたクッキングスクールの校長として教えるかたわら、自ら料理サロンも主宰し、テレビや雑誌でもご活躍中の中村奈津子さん。フレンチ、イタリアンといった西洋料理だけではなく、ニューヨークや香港でも料理を学んだ経験を活かし、幅広いジャンルの「最良のレシピ」を伝授することに精力的に取り組んでいます。多忙な毎日を送っているはずなのに、いつお会いしても元気はつらつ。そんな中村さんに、現在の活動や「食」にかける想いについて話を伺いました。

料理研究家よりも「料理教師」が、ふさわしい。

【クローズアップ】料理研究家ではなく料理教師。中村奈津子

Q:まずは、中村さんがどのような方なのかを伝えるのに「料理研究家」とお呼びしてもよろしいでしょうか?

中村さん:実は、新しいメニューを考え出しているのではなく、最も美味しい状態で食べられるレシピを見つけて、それを教えています。だから自分では「料理研究家」よりも「料理教師」がふさわしいと感じています。外へ出て街の美味しいものを探すのも好きですが、何より「教える」ことが大好きなんです。私が幼い頃から母が自宅で料理教室を開いていたので、母が生徒さんに料理を教える姿を見て育ちました。中高生の頃にはちょっとした手伝いをするようになって、教師として生徒さんと向き合うようになったのは大学生の頃から。子どもの頃に料理教師になりたいと思ってから、一度も迷ったことがないんですよ。料理教師になって25年になりますが、私の場合、好きなこと・得意なこと・仕事がずっと同じなので、とても恵まれていると感じています。

 

Q:大学卒業後に全日本司厨士協会に就職された後、ニューヨークで料理を学ばれていますが、なぜアメリカを選ばれたのですか?

中村さん:当時「なぜアメリカ?」と、家族や周囲の人たちにも言われました(笑)。大学のゼミが西洋料理研究だったので、それまでは主にフレンチやイタリアンに触れていましたが、どちらかと言うと一般的な家庭料理には応用しづらいところがあって……。「アメリカには私のまだ知らない、もっと合理化した何かがあるのではないか?」と考えたのが大きな理由です。事実、オーブンに入れて焼くだけの美味しい料理など、それまで持ち合わせていなかった新しい価値観との出会いがありました。飾らない家庭料理の真髄に触れたとでも言いましょうか、目からウロコが落ちるような体験となりました。今もニューヨークには情報収集も兼ねて、年2回ほど足を運んでいます。

「いかに、より美味しくなるか」をシンプルに追究

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Q:中村さんが校長を務めるクッキングスクールでは、どのようなことを教えているのですか?

中村さん:例えば日本の代表的な家庭料理の「肉じゃが」も、作り方は何百通りもありますよね。でも、その中から一番美味しいと思われるレシピを精査して、そのレシピで作ることを提案しています。調味料はもちろん、素材のランクなども細かく指定します。その通りに作ることで、絶対に美味しくなる自信がありますから。何かを省いたり、別の物で代用できないかと質問されることもありますが、まずはその基本通りに作ってみて、アレンジはその後にという考え方です。手間がかかって面倒かも知れないけれど、その一見面倒に思われることにも理由があって、それを知っているかどうかが大きいと思うのです。もちろん、時代とともに新しい調理法というものが出てくれば、既存のレシピをブラッシュアップして取り入れています。大切にしているのは「いかに、もっと美味しくなるか」という一点です。

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Q:生徒さんは、どのような方たちでしょうか?

中村さん: 20代〜30代後半の未婚女性が8割くらいでしょうか。しかも2〜3年通う方がほとんど。当校に通い始めたのがきっかけで資格を次々と取得したり、卒業後に独立して自ら料理を教えている方たちも70人ほどいらっしゃるんですよ。教えているのはもちろん、ここで学んだレシピ。「彼氏ができました〜!」とか「結婚が決まりました!」のような嬉しい報告をいただくこともあります。そのような生徒さんたちの変化に立ち会うのも喜びですね。私は毎日手の込んだ料理をするようにメッセージしているのではなくて、作る時は気合いを入れて“超”美味しいものを作って食べて欲しい。必ず褒めてもらえますから、モチベーションも上がります。作る側も、食べる側も幸せ。「美味しいものを食べる」ことって、誰も不幸になりようがない。生徒さんたちにはそんな“超”美味しい料理を作ることを趣味・特技にして欲しいと願っています。家庭料理という日常生活に欠かせない部分に貢献できる意味でも、この仕事はやっぱり楽しくて、私の原動力になっています。

どこでも喜ばれる「フルーツサンド」は万能!

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Q:最後に、ippinキュレーターでもある中村さんにとって、欠かせない手土産はありますか?

中村さん:ちょっとしたパーティなどにお呼ばれした時や、みんなで持ち寄って集まる時に必ず持って行くのは「千疋屋」の「フルーツサンド」です。このフルーツサンドなら、他の人と重なることはまずありません。軽くつまめるだけではなく、スイーツとして楽しむこともできます。注文する時に、半分はマンゴーとキウイを除いて作っていただくのがポイントです。マンゴーとキウイが苦手という方もいらっしゃるので、これならどこへ持って行っても喜ばれ、いつもキレイになくなります。

【クローズアップ】料理研究家ではなく料理教師。中村奈津子

【プロフィール】 日本女子大学食物学科卒業後、全日本司厨士協会に勤務。ニューヨークのニュースクール、フィレンツェのラ・フォールアカデミー、香港鴻星料理学院で学ぶ。2006年ニューヨーク駐在時より料理教室「LOVELY TABLE NEW YORK」を主宰。2009年帰国後、実家田中伶子クッキングスクールに勤務。2012年「LOVELY TABLE GINZA」開校。現在もニューヨークを行き来する活動をしている。PHP研究所発行月刊誌「JAPAN CLOSE-UP」に料理記事連載。光文社「VERY」「女性自身」などに寄稿。BSフジ阿川佐和子氏の「阿川ごはん」レギュラー出演。日本テレビ「ZIP!」定期出演中。主婦と生活社発行「一生作り続けたいおかず~50年の名門料理教室のベストレシピ150」が2014年本屋レシピ本大賞4位入賞。2014年9月講談社発行「本当に作りたい料理、ぜんぶ。」好評発売中。

※掲載情報は 2015/03/13 時点のものとなります。

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