「他を抜く」心意気で、手焼きにこだわる高級煎餅

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吟味したお米と醤油、素材の味を活かす職人の技も見事

「他を抜く」心意気で、手焼きにこだわる高級煎餅

次々とおしゃれな店が増え、若い方たちにも人気の麻布十番は、一方で下町の風情も残る私の好きな街のひとつです。豆菓子の「豆源」、鯛焼の「浪花屋総本店」など昔なじみの店も多く、ときおり、ふらりと歩いてみたくなります。そんな時よく立ち寄るのが、愛嬌たっぷりの信楽焼きの大狸が目印の「たぬき煎餅」。1928年(昭和3年)創業のこの店の名前は、“他を抜き”日本一の煎餅を目指すという気持ちを、「たぬき」の言葉にかけてつけられたと聞きます。創業当初は浅草柳橋に店を構えていましたが、1945年(昭和20年)の東京大空襲を機に、現在の麻布十番に移ったとか。近くには狸穴や狸坂といった店名にゆかりの地名があり、なるほど、と思います。

「他を抜く」心意気で、手焼きにこだわる高級煎餅

この店を代表する煎餅が、創業以来守り伝えられてきた「直焼」。材料の吟味から始まり、生地作り、伝統技の手焼き、醤油塗りなど、最後の最後まで丹念に、手間暇かけて生み出される逸品です。一日に数百枚しか焼けないということですが、三代目当主が一枚一枚店頭で焼く様子が見られるのも、私がこの店を訪れる楽しみのひとつになっています。素材にもこだわり、米は庄内産、醤油は宮内庁御用達の御用蔵醤油とのこと。たぬきをかたどったユーモラスな形の「直焼」は全部で4種類あり、サクッと柔らかな小狸、ほどよい堅さの古狸、濃いめの醤油を塗った厚焼きの大狸、醤油を二度塗りした堅焼きの元老狸と、それぞれに違った歯応えと味わいで楽しませてくれます。伝統を守りつつ、新しい味の工夫も怠らず、チーズサンド煎餅「たぬ吉」、一口サイズの「わらべ狸」などの人気商品も。これらももちろん、すべてたぬきの姿をしています。

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たぬき煎餅

※掲載情報は 2015/02/27 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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