夏の帰省土産にぴったり!日本人の心を美しく表現した深すぎる意味の「水羊羹」

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言葉にならない想いを、平安時代の和歌に重ねた水羊羹

夏の帰省土産にぴったり!日本人の心を美しく表現した深すぎる意味の「水羊羹」

梅雨が明けたと同時に、連日の猛暑。先日、新幹線に乗ろうとホームの自動販売機に立ち寄ったら、飲み物はすべて完売。これだけ暑い中、食欲がなくなったり、体調不良になったりする方も出てくるだろう。そんな時に、手土産にぴったりのものを見つけて即購入!この猛暑の中、喜ばれる和菓子をご紹介したい。

 

それは、今の時期、手土産として大人気の「水羊羹(みずようかん)」だ。その中でも、今回は淡路島産の藻塩を使うことでミネラル補給ができるだけでなく、ほんのりとした塩味で甘さを引き立てている絶妙なバランスの逸品。ほとんど塩味を感じないのは藻塩の量を最小限にし、上品な甘さを如何に引き立てられるかにメーカーの企業努力を怠らないためだ。

 

通常、水羊羹は容器に充填された際に一度、充填後に更に一度の合計2回の殺菌を行う。これにより、水羊羹は加熱されるため、味の変化が起こる場合がある。しかし、この商品は最新技術を用いることで、殺菌を一回のみにとどめる。そのために、小豆の風味を引き立たせ、職人による手作りした出来立ての“本生”水羊羹を再現しているのだ。

夏の帰省土産にぴったり!日本人の心を美しく表現した深すぎる意味の「水羊羹」

食べてみると、甘さは控えめで、瑞々しさが印象的。北海道産の小豆を使用したつやつやとした水羊羹は、見ているだけで食欲をそそる。カップのままいただくこともできるが、私は冷蔵庫に冷やしておいたガラスの器に、水羊羹をのせていただいてみた。

夏の帰省土産にぴったり!日本人の心を美しく表現した深すぎる意味の「水羊羹」

夏休みやお盆は、帰省したり、お友達に会ったり、おもてなしをする機会が増えてくる。器から冷やして、暑い中訪れる人をガラスの見た目の涼しさを目で楽しんでもらう。さらに、冷やしておいた水羊羹を、その器でいただくことで、長く冷たさを楽しんでもらうことができるのだ。こんな演出もちょっとした日本人ならではの心遣いではないだろうか。

 

さらに、日本古来の製法で作られている藻塩を使用することも、日本人らしい気配り。この水羊羹を食べている時、パッケージを見ていて、あるものを思い出した。それは日本人なら一度は習う「小倉百人一首」のある和歌だ。

 

小倉百人一首で、藤原定家はこんな和歌を綴っている。

 

「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや 藻塩の 身もこがれつつ」

夏の帰省土産にぴったり!日本人の心を美しく表現した深すぎる意味の「水羊羹」

(高橋玉翠書)

 

“まつほの浦”は兵庫県淡路島の海岸のこと。“藻塩”は、海藻から取る塩のことで、日本で古くから続く塩の作り方。この歌は、簡単に説明すると「好きな人を待っているという」切ない歌だが、和歌としては多くの技法が使われており、実はとても奥が深く、藤原定家らしいと言える。

 

まさに、今回ご紹介する水羊羹にぴったりだなと、一人でうなずいてしまった。

 

帰省する際の手土産に。
帰省する故郷の大切な人のために。

 

あなたには、帰る場所があり、待っている人がいるということが、実はとても幸せなことだということを忘れないでほしい。藤原定家の和歌のように、あなたを待っていてくれる人がいることこそ、実は奇跡なのだから。

※掲載情報は 2018/08/01 時点のものとなります。

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キュレーター情報

高橋香葉

発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー

高橋香葉

「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。

主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等

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