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いつの時代も女たちをとりこにしてきた、ファンシーなビジュアル
戦後間もない頃、銀座にレストランとしてオープン。その後、現在に至るまで“関東地域限定”で営業を続ける「洋菓子舗ウエスト」。80~90年代には、CMが流れていたこと、覚えていますか?「ドライケーキのウエストです」という落ち着いた声のナレーションは、子ども心に高級感を感じたものです。
アイロンの効いたテーブルクロスに磨かれたコーヒーウェア……銀座店の喫茶室のあのキリリとした佇まいは、昔、文化人が集うサロンだったのを今に継承しているんだなぁと感じることができ、大好きです。
そして、“ウエスト”と言えば、クッキーではなくドライケーキ。このネーミングが、またいいんですよね~。そのドライケーキの中でも、マイベストはやはり「ヴィクトリア」。「ヴィクトリア」は、フリル型の形にクッキー生地を流し込み、いちごジャムがのった、簡単に言うとジャムクッキー。でも、さすがウエスト・クオリティ。サックサクのクッキーとねっとりとしたジャムのコンビネーションのおいしさと言ったら、たまりません!
子どもの頃、お中元やお歳暮で“ウエストのドライケーキ”の詰め合わせが届くと、まずこの「ヴィクトリア」を意地汚く“確保”したものです(笑)。
そして何よりも、このビジュアル。“不変のかわいさ”なんですよね。だから、私は「ウエスト」でお使いものを買うときは、迷いなく「ヴィクトリア」だけの詰め合わせに。だって箱を開けたときのときめきが違いますもの!
この「ヴィクトリア」、編集者でもファンが多く、銀座での打ち合わせ帰り、2~3個自分の“ごほうび用”に買って、机の引き出しに忍ばせておくという人も決して少なくありません。
この清楚なお包みと店名が型押しされたシンプルな紙袋も、今となっては逆に新鮮。大切な人に贈りたいギフトです。
※掲載情報は 2017/03/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
編集者・ライター
中田ぷう
大学卒業後、大手出版社に勤務。2004年に独立。モデルの中林美和さん、AYUMIさん、前田ゆかさん、食空間プロデューサー山本侑貴子氏、スタイリスト福田栄華氏の著書をはじめ、多くの料理本や暮らしの本のプロデュース・編集・ライティングを手がける。著書に子どものごはん作りの闘いを描いた「闘う!母ごはん」(光文社)がある。
インスタグラムでは日々の食事とおいしいものをアップしている。
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