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一口食べると直感的に、その美味しさが分かります。
先日、メガネを掛けた人にスポットを当てた弊社のWEB連載「Megane GENTS & 美女」の取材に同行し、東急世田谷線の「松陰神社前」駅にある『MERCI BAKE(メルシーベイク)』というケーキ屋さんに行ってきました。
松陰神社前には、都内では珍しく路面電車が走っています。松陰神社前駅を降りると目の前に商店街があります。左に行くと、明治維新の先覚者の吉田松陰を祀った松陰神社。右に行くと、八百屋、魚屋、電気屋など、いろいろな店が並ぶ商店街があります。
懐かしさを覚えるような商店街の街並みですが、歩き出すとところどころにおしゃれな店を見かけます。古い商店街に若い人たちが出店し、昔からある古い店と新しい洒落た店が混在して新旧のコントラストが際立ち、「新しいけど、懐かしい」という好奇心をくすぐられる個性的な景観を作っています。
メルシーベイクがこの商店街にオープンしたのは、今から約2年前。フランスで修行したパティシエの田代翔太さんが始めました。
流行ものではなく、いつでも食べられるような暮らしに根付いたケーキ作りをされています。
田代さんが焼いた、ガトーショコラとブランデーケーキをお土産に買って帰りました。
表面に起伏があるガトーショコラは、どっしりとした濃厚な食感です。食べてみるとチョコレートのほろ苦さもあり、意外にもさっぱりとした味わいです。重過ぎず、甘過ぎない絶妙な美味しさがします。
食パンのように大きいブランデーケーキは、甘さもほど良く抑えられ、美味しさが口の中でふわっと広がって行きます。カステラのようですがパサついた感じは全くなく、しっとりとした舌触りの良さを感じます。生地にブランデーが入っていますが、子供も美味しそうに食べていました。
田代さんの焼くケーキは、共通して素朴で優しい感じがします。
フォークで品良く食べるよりも、手掴みで気軽に食べて欲しいと田代さんは言っていました。
その話を聞いて、20数年前、学生時代に初めてパリに行った時を思い出しました。街のケーキ屋さんでガトーショコラを1つ買ったら、紙袋にも入れられず紙に載せられてハイと渡されました。
それは、なんとなく子供の頃に通っていた近所の駄菓子屋さんの感覚に似ていました。パリの街の景観を見ながら外で立ってガトーショコラを美味しく食べたことは、今でも忘れられません。
メルシーべイクを駄菓子屋に例えるのは失礼な話ですが、親しみやすさはそこに通じるものがあるのではないかと思います。下町の御徒町で育った僕にとっては、幼少時代の駄菓子屋に対する思いは絶大なものでした。メルシーベイクのケーキは美味しさの秘密は、食べる人への愛情に尽きると思います。それが田代さんの考えるレシピにも反映されて、最高の美味しさを作っているのです。
松陰神社前の商店街は、街に住む人々の暮らしを支えています。商店街に花屋さんが無くなったら新しい花屋さん探して連れてきたり、ケーキ屋さんが無くなったからケーキ屋さんを探して連れてきたりしています。メルシーベイクが出店するきっかけになったのも、商店街でちょうどケーキ屋さんを探していた時だったとのことです。今ではすっかり商店街に溶け込んで、街の人々に末長く愛されるようなケーキ作りをしています。
松陰神社前に行かれた際は、メルシーべイクまで足を運んでガトーショコラをテイクアウトし、お好きな場所へ行き、たまには空の下で手掴みでいただいてはいかがしょうか?
美味しそうなケーキの写真は、メルシーベイクのインスタグラムをぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/mercibake/
パティシエの田代翔太さんについて知りたい方は、メガネジェンツのサイトをぜひご覧ください。
http://blinc.co.jp/meganegents/
※掲載情報は 2016/05/11 時点のものとなります。
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キュレーター情報
荒岡眼鏡の三代目 眼鏡店ブリンク店主
荒岡俊行
1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。
ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。
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