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昨年の11月初旬、8年ぶりに訪問したルイナール、シャンパーニュが世界遺産に登録されたこともあり、訪問者が増えています。
世界で最初のシャンパン・メゾンとして1729年に創業したルイナールの立役者はベネディクト派修道会の高僧ドン・ティエリー・ルイナール。そして、甥のニコラ・ルイナールが創始者の夢を実現させました。
ルイナール創業年を日本に置き換えてみると、なんと、江戸時代8代将軍徳川吉宗の治世下になります。
偉大な高僧の名を冠したトップ・キュヴェが『ドン・ルイナール』です。ぶどうの作柄が良い年だけに生産される、エレガントさを究めたシャルドネ100%のシャンパンです。
現地では2004年ヴィンテージを味わいましたが、石灰由来のミネラル感とクリーミーな食感、長く続く余韻に魅了されました。
真珠のように気高く繊細な気泡
ルイナールの神髄はシャルドネです。
透明瓶のルイナール ブラン・ド・ブランを抜栓し、シャンパーニュ・グラスに注ぐと、淡いゴールドの輝きとともに、繊細な気泡が絶え間なく立ち昇る様は実に見事!
地下深いカーヴでまどろみながら、瓶内でゆっくりと育まれてきた自然の泡たち。言葉で言わなくても、パールのような神聖さを備えた何億もの気泡は、その歳月をしっかりと物語っています。
ガリアローマ時代の“クレイエール(古代の石灰岩の石切場跡)
思わず息をのむ荘厳な異空間、タイムスリップしたような錯覚を覚えます。
ルイナールのシャンパンは古代ローマ人が遺した2世紀のクレイエールの地下25m、35m、40mで熟成させています。ピュピトル(滓下げ台)にあるのはブラン・ド・ブラン。
もし、彼方が真のシャンパン好きなら、“死ぬまでに見ておくべきメゾン”。私は、それが『ルイナール』だと思っています。
※掲載情報は 2016/01/05 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインジャーナリスト
青木冨美子
NHK、洋酒メーカーを経て、現在フリーランス・ワインジャーナリスト。(一社)日本ソムリエ協会前理事、機関誌『Sommelier』前編集長。17世紀、3つのコトー(丘陵斜面)で造るシャンパンの愛好家によって組織された「オルドル・デ・コトー」が起源の由緒ある団体『シャンパーニュ騎士団』から2009年5月シュヴァリエ(騎士)受章、2012年5月には、オフィシエ(将校)受章。2013年4月オーストラリアワイン名誉スペシャリスト受賞、ワイン本の執筆や監修、企業向けのワイン講師。『NHK文化センター青山校』、『ホテルオークラ ワインアカデミー』専任講師。Facebook『ワインのこころ Non Solo Vino版』でワイン情報発信中。著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社)』、『映画でワイン・レッスン(エイ出版)』監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』ほか。