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タイの農産物を見てきました
タイ大使館様よりご招待をいただき、タイ王国の食をめぐる旅に参加をさせていただきました。手がけている日タイを食でつなぐ活動のために20年ほど前より数十回は渡航し、まさに第二の故郷となっている、微笑みの国タイ王国。
今回は、ippinキュレーターとして訪問しましたので、新鮮な気持ちで、また違った魅力を発見することができました。農産物にフォーカスしながら紹介をしてみたいと思います。
ラチャブリー県へ出発
タイの国土は日本の約1.4倍。大きく5つの地方(北部、東北部、東部、中部、南部)に分かれていて、ラチャブリー県はタイ中部の県の一つ。バンコクからは車で1時間半ほど、距離にして約80km。タイは象の横顔のような特徴のあるシルエットですが、ちょうど鼻の付け根あたりに位置するので、西側はミャンマーの国境に接しています。
東側は、メークローン川を中心に32kmもの運河が張り巡らされていて、観光地として有名なダムヌーンサドゥワック水上市場があります。観光番組などでお馴染みの定番人気スポットなので、ご存知の方も多いかと思います。今回の視察で唯一観光的な楽しみがココでした(笑)。
ちなみに同じメークローン川で、東隣のサムットソンクラーム県にはアムパワー水上市場があり、ホタル観賞ができることで知られています。バンコクから少し足を延ばせば体験できる、伝統と自然がミックスしたタイらしい雰囲気が味わえるスポット。おすすめです。
水路を活かしたソムオーの圃場へ
再びワゴンで10分ほど移動して、ランシーモック協同組合会員の果樹園へ。ココナッツの生産・加工の現場を見せていただいた後(次回ご紹介予定)、ランチを挟んで、いよいよソムオーの圃場へ。
隣のサムットソンクラーム県も含め、この一帯はソムオーの産地として知られており、タイ国政府観光庁(TAT)は、「2015 Discover Thainess」タイらしさを再発見する2015年をテーマに、12県の隠れた名所「タイの12の秘宝」として、レコメンドしています。
このエリアは水路を活かした栽培方法を取っており、この日に視察をしたアスパラガス、ココナッツ、ソムオー、全て水路で囲みこむようにレイアウト。散水機能を持った小型ボートで園内を走り回り、定期的に水やりを行います。雨季になると水路が見えなくくらいに幹の根元まで増水することもあるとか。水害対策にも一役買っていると思いました。
魅惑の果実ソムオー
ソムオー(ポメロ)は南アジア・東南アジア原産の柑橘系の果物。栄養価も非常に高く、ビタミンCやミネラルが豊富。美容や健康にも最適な果物で、粒の大きさ、プチプチした食感、甘酸っぱさやほろ苦さもある独特の味わいが特徴。日本には17世紀頃に伝わったと言われおり、九州(晩白柚は熊本県八代市の特産物)や四国では、ソムオーに良く似た同じ文旦類の果物である、文旦やザボン(晩白柚)が生産されています。
ソムオーは8月から9月にかけての雨季が最盛期。日本の1年1収穫とは異なり、年3~4回生産するそうです。また、日本の柑橘類は作業効率や日照を効率よく取り込むために、樹の高さを低めに調整しますが、タイは森の中に樹に実がなっているような自然な状態で、天頂から降り注ぐ太陽を水面からの反射を利用して、水をたっぷり吸わせながら育てているように思いました。
また、ソムオーは屋台やスーパー等で、むき身パックや果実のままで山積みして販売していますが、そのまま味わうのも甘さがしっかりあって美味しいですが、様々な料理にも素材として使われています。その中でもオススメはヤムソムオー(ザボンのサラダ)。パームシュガーとココナッツの香りがアクセントになるタイ料理の中でも、日本ではなかなか食べられない一品。
ソムオー(トーンディー種)の生果実の輸入が2012年2月10日に解禁となり、タイ国政府も年々日本への輸出に力を入れています。
日本では2月頃の冬に旬を迎える冬の果物・晩白柚。夏場に旬を迎え、南国のイメージを活かしたメニュー展開ができるソムオー。良いところを活かして拡がって欲しいものです。
正直、晩白柚とは別物。旬の採れたてソムオーは大変瑞々しく、何個でも食べられそうなくらい魅惑の味わいでした!
※掲載情報は 2015/10/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ヤムヤムソウルスープキッチン代表理事
西田誠治
特定非営利活動法人Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN 代表理事、6次産業化プランナー。日本初のコンセプト「日本列島47都道府県 meets タイ王国77県」をテーマに、全国各地のローカルの魅力をタイ料理をフィルターにして新たに引き出し、各地の食や観光、人の魅力をわかりやすく世界へ発信。インバウンド&アウトバウンドの活性化を47都道府県に提供している。現在までに15県、6市町村をテーマにした地域交流のためのタイ料理イベントをタイレストランや料理人と連携して開催。産地交流のための独自の場作りを通じて、日本とタイの食の魅力を幅広い世代、地域へ積極的に伝えている。タイ国政府商務参事官事務所、タイ国政府観光庁後援事業、内閣府地域社会雇用創造事業(平成23年度)認定事業。
現地取材を通じて産地との交流を作りながら、デザイナー、プロデューサーとして全国の一次産業支援も積極的に手掛けている。食用いぐさ「ゆいのくさ」のブランディングと海外展開支援(熊本県)、雹害りんご農家の支援を「雹kissりんご」プロジェクト(青森県)として立ち上げるなど、産地支援活動を全国各地で手がけている。