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すっとかみ切れるやわらかさ、食べやすい手頃なサイズも人気
私は1955(昭和30)年、32歳のときに主婦の友社に入社し、料理記者としての道を歩み始めました。その後、女子栄養大学出版部に移り、『栄養と料理』の編集長を務めたあと、独立。仲間と「エディターズ」という編集プロダクションを設立しました。2011(平成23)年からは、「akオフィス」という個人事務所を立ち上げ、食生活ジャーナリストとしての活動を続けています。料理記者としてスタートをきってから、今年で60年になります。その間、料理や栄養など、「食」にかかわる雑誌や書籍の企画・編集に携わり、取材や講演などで、47都道府県、日本のすべての地域に足を運びました。移動のため、新幹線や飛行機に乗った回数は数え切れないほど。そんな移動中のおともに、よく買い求めたのが、「まい泉」の「ヒレかつサンド」です。
もともと、とんかつは大好物ですが、「まい泉」のヒレかつは肉が驚くほどやわらかく、一切れが小ぶりなサイズなので、手でつまんで気軽に食べられるのがお気に入りでした。いまや、「まい泉」は、全国の百貨店や駅ビルの中に多数の店舗がありますので、ご存じの方も多いと思います。もとは、1965(昭和40)年に、創業者の小出千代子さんが、「箸で切れるやわらかなとんかつ」を目指して開業。それまで飲食業の経験もなく、ごく普通の主婦だったといいますから、並大抵の苦労ではなかったはずです。「ヒレかつサンド」が手土産としてここまで人気になったのも、上質な豚ヒレ肉を厳選、やわらかな食感に仕上げるためていねいに下ごしらえし、パンもソースもサンドイッチ専用に開発、パン粉や揚げ油にいたるまで店のオリジナルと、妥協せず徹底的にこだわり抜いたからこそ。子どもからお年寄りまで、これからも長く愛され続けることでしょう。
※掲載情報は 2015/09/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食生活ジャーナリスト
岸朝子
大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。