和菓子好きの甲府市民なら知っている「大野屋」の隠れた名菓「ゆべし」

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希少な甲州から信州にかけて自生する「天然和胡桃」を使用

和菓子好きの甲府市民なら知っている「大野屋」の隠れた名菓「ゆべし」

先日、夏休みに奥さんの実家のある甲府に行ってきました。甲府は、東京からわずか100キロメートルしか離れていないのですが、意外と甲府の情報はあまり知られていないです。地図を見なくても分かりますが、埼玉、神奈川、千葉は東京に隣接していますが、山梨も隣接しています。甲府駅を降りて田舎に来たなとは感じないです。ちょうど「都会」と「田舎」の中間のような感じがして、ポジティブに考えれば、要するに「いいとこ取り」の街だと思うのです。

 

あまり知られていない甲府の情報は、いろいろあります。例えば、甲府で和菓子好きなら知っている人も多い「大野屋」です。「大福」が有名なお店ですが、「ゆべし」も美味しいです。冠婚葬祭の引き菓子としても使われて、地元に根付いた和菓子です。

 

大野屋の「ゆべし」は、クルミが入っています。そのクルミの素材も、今では希少な甲州から信州にかけて自生する「天然和胡桃」を使っています。地元の天然のクルミを使うなんて、まさに郷土菓子です。たしかに、普通のクルミと違い、食べるとクルミの味がしっかりとして、クルミの風味が口の中に広がります。表面は砂糖で固められていますが、中は柔らかく醤油味の餅との甘辛のバランスが絶妙です。この「ゆべし」は一般的なものと比べると、箱に収まっている時はちょっと小ぶりに見えるのですが、厚さがちょっと厚めです。だから柔らかいのに、歯ごたえもあり、食感が楽しめます。夏は冷茶に合わせると、いっそう美味しくいただけます。

「ゆべし」の由来を調べてみると、源平時代に生まれたとも伝えられるらしいです。もともとは、お菓子よりも、保存食に近いものだったのが、時代とともに現在のお菓子に変化して行ったとのことです。その変化の過程で、お菓子系のものと珍味系のものに分かれて行ったらしいです。

 

日本の各地には、それぞれの地方で変化して行った、様々な「ゆべし」が存在するらしいのです。東北から北関東にかけては、棒状の「くるみゆべし」や「ごまゆべし」を切ったものが多いらしいです。「ゆべし」を漢字で書くと、「柚餅子」と書きます。「柚」はゆずの意味で、地方によって、ゆずの実をくり抜いて餅を入れて作った「ゆべし」というのも存在します。昔、ゆずを手に入れるのには遠い地方で、ゆずの代わりにクルミを使うようになったとも言われています。

 

日本各地の「ゆべし」の違いを食べ比べてみても、面白いかもしれませんね。

 

甲府に行くことがあれば、「天然和胡桃」を使った大野屋の「ゆべし」をお土産にされてはいかがでしょうか?

和菓子好きの甲府市民なら知っている「大野屋」の隠れた名菓「ゆべし」

※掲載情報は 2015/08/26 時点のものとなります。

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キュレーター情報

荒岡俊行

荒岡眼鏡の三代目 眼鏡店ブリンク店主

荒岡俊行

1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。

ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。

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