水ようかん
越後屋若狭 住所:東京都墨田区千歳1丁目8−4
この「水ようかん」を初めて味わった時、そのひとくちのあまりの繊細さに、言葉にならないような不思議な気持ちにさせられました。口に含んだ瞬間、その塊は液体のようにスッと消え、優しい甘味だけをそっと余韻に残すのです。その不可思議な体験に魅了され、足繁く通うファンが絶えないという、両国の老舗和菓子店『越後屋若狭』。
水ようかんは同店の夏季の限定商品で、その特徴を一言で表せば、他では味わえない「瑞々しさ」と「儚さ」に尽きるかもしれません。うだるような暑い夏の昼下がり、この涼味をいただけば、乾いた喉と疲れた体が潤いで満たされ、至福の気持ちにさせられます。と同時に、あまりにも瞬時に消えてなくなる儚さに、少しだけ切なさを覚えるのです。まるで、遠い夏の思い出みたい。「楽しい夏休みはずっと続いて欲しいけど、あっという間に終わってしまう……」そう思った昔の記憶とぼんやり重ね合わせながら味わうのもまた、粋な愉しみ方です。
越後屋若狭 住所:東京都墨田区千歳1丁目8−4
※掲載情報は 2015/07/23 時点のものとなります。
ワイン研究家 株式会社食レコ 代表取締役
瀬川あずさ
聖心女子大学卒業後、施工会社の秘書を務め、多くの飲食店のリーシングや施工業務に携わる。その後、趣味が高じてワインエキスパート、日本酒利酒師の資格を取得。記者・ライター業、飲食コンサルティング業、ワイン講師など食やワインにまつわる仕事に精を出す。2014年、食に特化したリレーションサービスを提供する 株式会社食レコの代表取締役に就任。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」新宿校の主幹講師も務め、食やワインを通じた豊かなライフスタイルを発信している。