小松こんぶ
雲月 南青山 住所:東京都港区南青山3丁目4-4
僕がまだ子供の頃に、祖父がよく塩昆布を食べていました。祖父は、朝に食欲のない時や夜の晩酌の後には、塩昆布でお茶漬けにしていた記憶があります。 お茶漬けにした途端、いつもはゆっくり食べる食事も、急に「早送り」でもしたかのように動作も早くなり、お茶碗を口に当て、箸の動きを小刻みに動かして、「スル スル スル スル」と音を立て、あっと言う間にお茶碗が空っぽになります。あの所作は、子供から見ても、潔いほど気持ちの良いものでした。「食がなかなか進まない」という難問を楽に解決してしまう「お茶漬け」って、よく分からないけどすごいなと思っていました。それは、時代劇の水戸黄門が最後のクライマックスで、「今まで、いったいなんだったのだろう。」と思わせる引導を渡すシーンに近いかもしれません。「塩昆布」が出てきた途端に、お茶漬けにして、さらさらと食が進みます。そのお茶漬けを食べる所作に憧れて、子供ながらも食欲がないと、塩こんぶでお茶漬けにして、いきなり急ピッチで食事を済ませておりました。なので、我が家には「塩こんぶ」をいつも常備しておりました。
先日、うちの店の近所を歩いていて時に、ショーウインドウに「小松こんぶ」という文字を見つけました。うちのスタッフが、店のすぐ近所に「京都で有名なお店」があると言っていたのを思い出しました。京都の懐石料理の銘店「雲月」が、佃煮や和菓子などを販売する小売りの店を青山に出していたのです。引き寄せられるように「小松こんぶ」を買い、帰り際にお店の方にどうやって食べると美味しいのかを聞いてみました。
もちろん白いご飯の上に載せたり、お茶漬けにしたりしても美味しいですが、夏は冷や奴の上にお醤油の代わりに載せても良いし、ピーマンの千切りやキャベツに合えても美味しいと教えてくれました。早速、家に帰って実践してみました。
「小松こんぶ」は、昆布が細く切られています。白いご飯に載せて食べてみると、ちょうど良い塩加減で、中に山椒の実が入っておりピリッとします。昆布の素材の良さ、上品な味付け、さすが銘店の料亭の炊き上げた昆布だなと感じました。お茶漬けにしてみたら、昆布のダシが出て、美味しさを声に出してしまうほど美味しいのです。最高の「こんぶ茶漬け」です。きっと、おにぎりにしても良いと思います。
冷や奴の上に「小松こんぶ」を載せ、ごまを掛けて食べてみると、いつも食べている冷や奴が、格段に美味しくなりました。こんなに簡単に作ることが出来るのに、料理屋さんで出されている一品のように思えました。
続いて、千切りしたピーマンに「小松こんぶ」を載せ、ごまとごま油を加えて、合えてみました。ピーマンの苦みと昆布の旨味が意外とクセになります。ちょっと大人の味なので、お酒の肴に合いそうです。
この「小松こんぶ」は、京都の店で懐石料理を食べているお客様が、お酒も進みとお腹のふくれ具合によって、肴にしても、ご飯ものに合わせても美味しくいただけるものを作ろうという気遣いから生まれたものらしいです。
贈答用に木箱に入ったものにも用意してありますので、贈り物としても喜ばれると思います。京都の銘店の味を、青山で買うことが出来ますので、ぜひ一度行かれてみてはいかがでしょうか?(ホームページがないので、もし場所が分からない場合は、うちの店の近所なので店に立ち寄ってお気軽に場所をお尋ねください。)
雲月 南青山 住所:東京都港区南青山3丁目4-4
※掲載情報は 2015/07/08 時点のものとなります。
荒岡眼鏡の三代目 眼鏡店ブリンク店主
荒岡俊行
1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。
ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。
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ブリンク・ベース
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