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サクサクとした食感に豊かなバターの香り
私の朝は、NHKの連続テレビ小説とともに始まります。といっても、この年になるとだいぶ早起きになりますから、早朝から目覚めていることも多く、ゆっくりと朝食を食べたり、朝風呂に入ったりと、何かしら活動はしているのですが、仕事に出かけたり、原稿をチェックしたりするのは、連続テレビ小説を見終わってから、というのがここ何十年来の習慣になっています。そんな連続テレビ小説ファンの私ですが、中でも印象に残っているドラマが、1977年(昭和52年)から放送された「風見鶏」です。和歌山県太地町で生まれたヒロインが、神戸でドイツ人のパン職人と結婚するものの、戦争で生き別れてしまい、その後、本格的なパン作りに情熱を傾ける姿を描いた物語でした。そのドイツ人パン職人のモデルとなったのは、ハインリヒ・フロインドリーブさんという実在の人物で、1924年(大正13年)、自らの名前を店名にした「フロインドリーブ」を神戸の三宮で創業。日本におけるドイツパンとスイーツの草分け的な存在として知られています。東京・広尾にある「東京フロインドリーブ」はその姉妹店。ご主人の福井貞夫さんが8年間神戸の「フロインドリーブ」で修業後、都内に戻り独立開業したお店です。
ずっしりとした本格的なドイツパンもおすすめですが、私のお気に入りは、ドイツの伝統的な製法で作られた「アーモンドパイ」。塩味のパイ生地の上に、シロップをまとったアーモンドスライスがたっぷり。厚さは5ミリほど、サクサクとした歯触りが絶妙で、豊かなバターの香りも相まって、幸せな気分になります。1切れずつ切り分けられたものもありますが、ギフトにはぜひホールで。軽いので持ち運びしやすく、手土産に最適です。
※掲載情報は 2015/07/07 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食生活ジャーナリスト
岸朝子
大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。