桜もち一筋300年の老舗「長命寺桜もち」

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桜もち一筋300年の老舗「長命寺桜もち」

さっぱりとした皮と餡を塩漬けの桜葉で包んだ江戸の名物菓子

日増しに暖かくなり、桜の便りが聞こえてくると食べたくなるのが「桜もち」です。中でも、東京・向島にある「長命寺桜もち」は、江戸風の桜もちの元祖として知られています。関西で桜もちというと、もち米が原料の道明寺粉を使ったものが主流ですが、「長命寺桜もち」は、水で溶いた小麦粉を薄くのばして焼いた真っ白な皮に、北海道産の小豆から作られるきめ細かな餡が包まれています。また、普通は1枚の桜の葉で包むところ、「長命寺桜もち」では通常3枚、大きな葉なら2枚でもちを包んでいるのも特徴のひとつです。 「長命寺桜もち」の創業は1717年(享保2年)。長命寺の門番を務めていた山本新六が、隅田川の土手に植わっていた桜の葉を集め、醤油樽で塩漬けにし、もちに巻いて売り出したのが始まり、といわれています。花見客にたいそう評判がよく、たちまち江戸の名物菓子になりました。文政年間の古文書には、桜の葉が1年間に樽31個分、葉の枚数にすると77万枚が漬けられ、38万個の桜もちが作られた、との記述が残されています。長命寺の一帯は関東大震災や第二次世界大戦でたびたび焼失しましたが、その都度復興し、以来約300年、桜もち一筋で、伝統の味を守り続けています。戦前までは自家製の桜の葉を使用していたそうですが、現在は静岡県西伊豆の松崎で専用に栽培されているオオシマザクラの葉を使って作られています。 桜もちを食べるとき、この葉を食べるか食べないか、好みが分かれるのではないでしょうか。お店によると、桜の葉は、香りづけと、もちの乾燥を防ぐためのものなので、全部外して食べるのがおすすめだとか。私は葉を外して食べる派ですが、葉を除いてもしっかりと桜の香りがして、充分に春らしさを感じることができます。

桜もち一筋300年の老舗「長命寺桜もち」

※掲載情報は 2015/03/09 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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