ヴィネド・チャドウィック
ヴィネド・チャドウィック
2021年のベストワインは?と聞かれたら迷わず名前を挙げるであろうワインの1つが、チャドウィック家に代々受け継がれるワインへの情熱と伝統を反映する「ヴィネド・チャドウィック」
ウルトラ・プレミアムと位置づけられる理由とは何なのか、その疑問を紐解きたく、またチャドウィック家に代々受け継がれるワインへの情熱とテロワールに少しでも近づきたく、禅寺にいるような心持ちで静かにワインと向き合ってみました。
ヴィネド・チャドウィックの2018年は、ワイン評論家のジェームス・サックリングが98点をつけている素晴らしい年です。カベルネ・ソーヴィニヨン比率97%、プティ・ヴェルド3%、フレンチオークの新樽80%で22か月熟成というテクニカルデータからは、太陽の恵みを享受した果実味たっぷりのワインを想像していました。
ところが、このテクニカルデータに反し、予想もしなかったスタイルに衝撃を受けたのです。
外観は深みがあり、紫のニュアンスが見え隠れする美しいルビー色。グラスから立ち上る香りは、ブルーベリー、カシス、ブラックベリーなどの黒系果実に、グリーンノートがはらりと見え隠れします。針葉樹や湿り毛を帯びた黒土、落ち葉や木の実の入り混じった香りは、体の内側から人間の細胞を癒してくれるような心地良さ、軽井沢の木漏れ日の中で散歩しているような気分になります。
人生の真の豊かさを伝えてくれるような抑制感のあるスタイルは、毎日の時間を丁寧に刻みたいときに寄り添ってくれる、絶好の相棒だと感じたのです。
頭の中では、そんな私に合わせたいお料理のイメージがムクムクと湧き上がってきました。疲れていても、頂いたあとには元気が出てくるようなもの、素材そのものの底力を生かして、和のアクセントを加えたお料理です。
そこで、ソムリエが焼く鉄板焼きとして有名な尾山台「未ら音」の宇都卓弥シェフに相談すると、一緒にマリアージュを考えて下さることになったのです。
宇都シェフが目の前で焼き上げてくれる最高のカウンター席
「未ら音」のお気にいりポイントは、「好きなものを好きなだけ、好きなタイミングで」頂けること。ダイエット中だったり、体調がいまいちな時でも、その方に応じて自在にアレンジして下さるのです。
「今日何がお勧めですか?」と聞くと「鰯や穴子がいい状態でお勧めです。穴子は白焼きでもいいですし、ワインに合わせてたれ仕立てにして、実山椒をアクセントにしてもいいですね。」と宇都シェフ。
結局、お勧めされた2品と、帆立のカルパッチョ・キャビア載せ、ウニご飯、厳選山形牛フィレ&ランプ肉をミディアムレア仕立てで、米粉で作ったお好み焼き、デザートはチョコバナナクレープというメニューに決定しました。
どれもが素晴らしい相性をみせましたが、中でも印象的だったのが穴子とのマリアージュ。素焚糖というコクのある砂糖と煮切り醤油のタレをまとい、実山椒のアクセントが全体を引き締めている穴子は、ワインに感じられるニュアンスとピッタリ。外がふっくら、中がパリッという家庭では成しえない焼き加減に、箸もワインも止まりません。
即興で作ってくださった焼きフォワグラのソテー・バルサミコソース シャインマスカット添えは、温製によって際立つ脂のボリューム感を、赤ワインのタンニンが優しく支えて季節感も抜群。
難易度が高い鰯は、バジルソースをかけることでワインに寄り添い、ほんの少しのグリーンノートが青海苔の風味と同調していました。
さらに、ヴィネド・チャドウィックにお勧めなのが、牛肉に薬味を少し添えて頂く方法です。今回は定番の山葵だけでなく、軽く火を通して鰹節をかけた九条葱やとろろ昆布が添えられて、きめ細かい和牛の味わいを七変化させていました。
今回はトライしませんでしたが、キノコや焼き野菜など、野菜を中心にしたメニューとも相性がよさそうです。
「赤ワインにお肉だけでなく、季節の野菜や魚介類を合わせたい。」
そんな方にお勧めしたいこの赤ワイン「ヴィネド・チャドウィック」。大切な方とともに是非味わってみてください。
ヴィネド・チャドウィックのインスタグラム
@vinedochadwick
ヴィネド・チャドウィック
※掲載情報は 2021/11/12 時点のものとなります。
ソムリエ・ワイン研究家
林麻由美
企業、オンラインショップ、イベントにマッチしたワインセレクトやセミナーを行うソムリエ・ワイン研究家。
国内大手航空会社に乗務員として入社。国際線ファーストクラスを15年担当、世界55カ国以上を回り、世界各国のワインや様々な職業や人々に触れるうちに、ワインが繋ぐ人の縁の素晴らしさに感動する。
1995年に当時はまだ耳慣れない言葉だったソムリエの資格を取得、2001年にシニア・ソムリエも取得。その他、クージヌリー・ド・ブルゴーニュ、英国WSETLevel3、日本酒利酒師、温泉ソムリエ、フードアナリスト記者の資格を持つ。
現在は、ボルドーワイン騎士団理事、サクラアワード常任審査員、イベント・バンキング・フードイベント・プロデューサーとして、ワインと食の啓蒙活動に努めている。
JAL、アメックス、ダイナース、VISAの機関誌、ワイン専門誌では、テイスターや筆者として、ブルガリやディオールなどのファッションブランド企業、電通などの大手企業では、オーダーセミナーを行う。また、ジェラールチーズなどのオンライン販売では、チーズを使った料理とワインのマリアージュを提案している。