黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

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ある日友人のSNSを見ていてくぎ付けになったのが、天井高7m以上ありそうな、教会のように見える木張りの空間。突き抜けた奥には、スタイリッシュなワインセラーらしきものが佇んでいます。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

海外でも、日本でも見たことのないデザインに衝撃を覚えて調べてみると、日本酒の名門「黒龍酒造」が手掛けるESHIKOTO(えしこと)という施設であることが分かりました。

 

ESHIKOTO(えしこと)の「えし」は「良い」を表す古語で、逆から読むと「とこしえ」(永遠)になるという意味から名付けられたそうです。黒龍酒造のある場所は永平寺町で、その「永」にも由来します。

 

これは是非行かねばと東京からの経路を調べたところ、羽田から小松空港まで飛行機、その後バスか電車で福井駅到着、さらにタクシーで向かうとトータル5時間くらいかかることがわかりました。まだプレオープン中で情報もあまりなく、一人で行くにはあまりに心細いのでワイン業界の友人に声をかけたところ、ご縁が繋がって素晴らしい訪問となりました。

 

アクシデントを乗り越えて到達

 

ちょうど軽井沢滞在中だったため、軽井沢→金沢→福井駅で待ち合わせという経路の予定を立てていたのですが悪天候によりJR特級サンダーバード号が突然運休という事態に。幸いにも軽井沢駅で詳細を調べてもらった結果、ほぼ同時刻で運行するダイナスター号が代替で用意されていることが分かり、すぐにそちらを押さえました。本来は大阪まで走る電車ですが、川の氾濫などで福井止まりになったという訳です。

 

福井駅でみんなと合流し、タクシーで30分ほどでESHIKOTOに到着しました。ほとんど誰もいないだろうと思っていた私たちを驚かせたのが、レストランやカフェで食事を楽しむ多くの訪問客。悪天候ということもあり客足はいつもの半分くらいだということですが、宣伝もほぼ行わずしての人気の高さに驚かされました。

 

 

思わず歓声が上がった九頭竜川の絶景

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

テラスに出てみると、目の前には九頭竜川が水しぶきのアクセントと共に流れ、奥には雄大な城山が広がっています。ちなみに九頭竜川の昔の名前が黒龍で、社名はそれに因んでいるそうです。川の畔には桜並木があり、春には優しいピンクで彩られます。敷地面積は何と3万坪の絶景です。

お聞きしたところによると、実はこの壮大なプロジェクトは、発想まで含めると30年以上の長い歳月がかかっていたとのことでした。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

8代目当主の水野直人氏はブルゴーニュなどのフランスの田舎町を旅したとき、地元の人がお酒や食を軸としたその地ならではの生活を楽しんでいることに感銘を受けました。以来妥協なく構想を練り続け、ついにたどり着いたのがこの地でした。その当時切磋琢磨していたご友人は、現在日本ソムリエ協会の重鎮として活躍されています。

アーティスティックな龍がシンボル「酒樂棟(しゅらくとう)」と「臥龍棟(がりゅうとう)」

建物は、レストランやお酒ショップがあるガラス張りの「酒樂棟」と、泡の熟成庫である「臥龍棟」に分かれます。今回は特別に、一般非公開の「臥龍棟」にご案内していただきました。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

まず「わあっ」と歓声が上がったのがセラーの入り口にふんだんに使われた笏谷石(しゃくだにいし)。青みを帯び、水にぬれるとその色が鮮やかに浮かび上がるという美しい石は現在採掘されておらず、古民家から出るたびに、自ら買い付けて集められたそうです。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

建物を設計したのは、綱町三井俱楽部や三菱一号館などを手掛けた、イギリスの建築家ジョサイア・コンドル氏の子孫であるサイモン・コンドル氏。教会のような空間は、ふんだんに使われた木の良い香りに満たされて、深呼吸するたびに命の鼓動を感じます。

 

樹齢200年という地元の杉を使った贅沢なバーカウンターも圧巻で、様々なイベントに対応できるようにと自ら選んでオーダーされたそうです。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO
黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

セラー内で発酵しているのは、瓶内2次発酵方式の「ESHIKOTO AWA」、約8,000本。福井県産の五百万石を使用しカ15カ月以上発酵、デゴルジュマン後約10カ月熟成されてから出荷されます。日本酒はワインと違ってフレッシュさを求める造り手が多い印象だったのでお聞きしたところ、黒龍のお酒はある程度熟成して美味しくなるので、カジュアルラインで6カ月、高級ラインで1~2年、中には20年以上熟成させたものもあるとのことでした。

 

セラー内の温度と湿度はシャンパーニュ並みにコントロールされているのに、棚にはカビが全くついておらず、綺麗な木目を保ったままなのには本当に驚きました。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

泡の熟成に睨みを利かせるように守る龍。館内のいたるところで見かけるアートは、女優で陶芸家でもある結城美栄子さんの作品です。そういえばパークハイヤット東京にも、いくつか同氏のアートが飾られていますね。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

一旦外に出て向かったのは日本酒の熟成庫。トンネルのような形をして斜面に溶け込んでいますが、掘った後に景観を崩さないようにわざわざ土盛りしたそうです。こちらには約5万本の日本酒が熟成されています。

黒龍の新プロジェクト ESHIKOTO

酒樂棟(しゅらくとう)のお酒ショップでは、お嬢様の真悠さんと紗希さんが、弾けるような笑顔でお客様をお迎えしていました。

 

お隣のレストラン「acoya」では全て福井県産の食材や器を使った美味しいランチが頂けます。酒粕を使ったソフトクリームも絶品です。

 

2024年新幹線が開通する頃には、オーベルジュやウイスキーの蒸留所、醸造ラボのオープンも予定されています。今後の黒龍酒造ESHIKOTOからますます目が離せません。

 

【ESHIKOTO】

所在地:〒910-1202 福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17

公式サイト:https://eshikoto.com/

施設入場は20歳以上、ペット同伴不可。

※掲載情報は 2022/08/24 時点のものとなります。

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キュレーター情報

林麻由美

ソムリエ・ワイン研究家

林麻由美

企業、オンラインショップ、イベントにマッチしたワインセレクトやセミナーを行うソムリエ・ワイン研究家。
国内大手航空会社に乗務員として入社。国際線ファーストクラスを15年担当、世界55カ国以上を回り、世界各国のワインや様々な職業や人々に触れるうちに、ワインが繋ぐ人の縁の素晴らしさに感動する。
1995年に当時はまだ耳慣れない言葉だったソムリエの資格を取得、2001年にシニア・ソムリエも取得。その他、クージヌリー・ド・ブルゴーニュ、英国WSETLevel3、日本酒利酒師、温泉ソムリエ、フードアナリスト記者の資格を持つ。
現在は、ボルドーワイン騎士団理事、サクラアワード常任審査員、イベント・バンキング・フードイベント・プロデューサーとして、ワインと食の啓蒙活動に努めている。
JAL、アメックス、ダイナース、VISAの機関誌、ワイン専門誌では、テイスターや筆者として、ブルガリやディオールなどのファッションブランド企業、電通などの大手企業では、オーダーセミナーを行う。また、ジェラールチーズなどのオンライン販売では、チーズを使った料理とワインのマリアージュを提案している。

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