カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」

カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」

記事詳細


紹介している商品


「いごっそう」と「はちきん」。土佐の人達に愛され、全国に伝えるワインを目指して

高知は酒の国。というイメージをみなさんもたれているのでは? 確かに数字で見ても裏付けがあります。一番顕著なデータが「家計における飲酒費用」。一世帯での家計で飲酒(主に飲酒とそれに伴う料理代で、諸会費なども含む)に出費する金額を総務省が調査したもので、2016年発表のデータによれば、全国1位が高知県。全国平均は17,990円で、高知はその2.2倍の38,910円。47位の和歌山県に比べると4倍弱というからすごい。他にもビール消費量(全国3位)、酒屋の数(2位)、飲食店営業数(5位)と人口約76万人と全国下から3番目の45位とは思えない数字が並びます。とはいえ、これらをひっぱっているのはビールや日本酒、焼酎などで、ワイン文化はまだまだ高知で胸を張れるほどではない、というのが現状です。

 

その現状に勇躍チャレンジしたのが、今回ご紹介する「井上ワイナリー」の「TOSA」シリーズ。ワイン文化というだけではなく、ワイン用のブドウ栽培にも向かない土地とされる高知。高温多湿に加え台風、雨という気象条件は、ワイン造りに臨む勇気をくじくには十分すぎるもの。ただ、旅人として、恵まれた日照、青い空と白い雲、太平洋からのゆるやかで健やかな風をこの地で感じると、ブドウにとっては幸せな環境でもあるのかなという感覚も芽生えます。わずかな可能性だったのか、確信だったのか、信じて進んだのは、「高知にはワインがあるべきだ」という井上孝志社長の熱い思い。全国の人が想像する、高知の男の心意気、そのものの決断。そしてなぜ高知にワインがあるべきか?の答えは、確かにワインの中からわかりました。

 

現在ラインアップされている2種類のワイン、「稲生(INABU)」「山北(YAMAKITA)」をテイスティングすると感じられるのは、これは高知名物のカツオのたたきに合う! いや、それだけではなく高知が誇る土佐あかうしとの相性もよさそうだ、という驚き。最初の印象から土佐の風を思う存分感じられます。次第にワインが開いてくると、これも高知名物の鳥料理、さらに余韻の酸にはこれも高知が誇る黄色、緑の柑橘、さらにはトマトの良い意味での青さと持ち味の甘みが感じられ、ワイン自体を飽きさせません。ドシッと濃厚であったり、使用するブドウの関係から骨格に優れたとか、長く雄大に続く余韻というようなワインではく、いずれもやわらかさ、可愛らしさや、はつらつさが特徴的。まだスタートしたばかりのワイナリーという試行錯誤も感じられ、完成形というわけではなく、まだまだ伸びる余地があるという印象も、それは新しい挑戦を感じられるという意味では楽しいものです。

カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」

共通の特徴の中で、もちろんこの2つはそれぞれ、ならではの個性を持ちます。メルロと日本在来品種のかけあわせ「富士の夢」を使った「稲生(INABU)」は、いわゆるフードフレンドリーな赤ワインらしい、ブルーベリー、カシス、ブラックチェリー、リコリスといった要素が感じられ、同じく在来品種とピノ・ノワールをかけあわせながら生まれた「エイトゴールド」を使った「山北(YAMAKITA)」は、キイチゴ、ピンクペッパーや紅茶といった、よりはつらつさと芯の強さを感じられるもの。強面に見えるけれど実は優しい土佐の男「いごっそう」が前者なら、高知の元気でがんばる女性「はちきん」が後者。なるほど、ブドウ品種の名前もエイトゴールド=はちきん。

カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」

高知の気候の中、高知の食材にあうワインを造るという志。そのために選ばれたブドウ品種であり畑であり醸造。コンセプトから積み上げられたワインだからその裏にある物語も楽しい。実はその裏側にある物語、井上社長(画像・左)の本業、ワイン造りに踏み込めた出会い、まもなくリリースを待つ3つめのワイン「手結(TEI)」にまつわる話、高知の人たちを巻き込む動き、ラベルに込めた思いなどなど、ご紹介したいエピソードは沢山あるのですが、それはまた別の機会に(私が企画・執筆する日本ワイン専門WEBマガジン「VINETREE MAGAZINE」にて近日)。まずは、何も考えずにワインと高知の食材と合わせて楽しんでみてください。

カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」

※掲載情報は 2019/02/28 時点のものとなります。

  • 5
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
カツオのたたき、土佐あかうし、柑橘。豊かな食と結びつく高知発のワイン「TOSA」
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

次へ

前へ