“白い金”どころか“白いダイヤモンド”!手間を惜しまずに作られる「本葛」

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100kgの葛根からわずか7kgの葛粉

葛の畑はどちらですか?

 

昨年春、鹿児島県にある『廣久葛本舗』の生産工場を見学したところ、目についたのは無造作におかれた“薪”のようなもの。どこを見回しても、あの白い塊、葛根湯などの原料である「葛粉」が見当たりません。しかし、これこそが“葛”。普段の姿からは想像もつきませんが、“薪”のようなそれこそが“葛”だったのです。

 

葛は全てが天然ものです。人が踏み入れないような山奥に自生しており、30~50年かけて土の中で静かに時を待ち成長していきます。

 

廣久さんでは毎年、葛がデンプンを蓄える寒い冬の間にだけ葛の生産をしています。葛根を洗い粉砕し水で洗い出した汁を一日置くと下にデンプンが沈澱する、これが「粗葛」。言葉でいうのは簡単ですが、気が遠くなるような手間暇がかかっています。茶色い汁を何度も何度も水で晒し、自然に沈殿するのを待ち、また混ぜて、さらに溶かし、中間の一番ピュアなところを取り出すその工程は、「浮かし取り」という伝統製法です。
その後の作業は本店である福岡県朝倉市に運んで作業していきます。

 

ここまでの工程を見たら、この先どうやってあの真っ白な「葛粉」になっていくのかがどうしても知りたくなり、引き寄せられるように朝倉市秋月を訪ねました。

秋月で舟入れと舟上げ

秋月では粗葛を井戸水で晒し、創業以来続く「舟入れ・舟上げ」という作業をします。舟というのは2メートルの大きな木の箱のこと。底に割竹があり、その上に布を敷き粗葛をいれます。割竹と布で水だけを一晩かけて抜いていきます。そして残ったものが“本葛の素”。「室ぶた」という木製のトレーにクラフト紙を敷いたところに、本葛の素であるデンプンの塊をすくっていれます。

“白い金”どころか“白いダイヤモンド”!手間を惜しまずに作られる「本葛」

デンプンは放置しておくと自然発酵してしまうため、たたき職人と呼ばれる人が二人組みとなり、手を使って表面を叩き、空気を抜きながら平らにしていきます。人の手を使うのは、たたき方にも微妙な力加減が必要だからとのこと。

 

鹿児島工場での機械が晒す工程の間も、当主である高木久助さんは、ずっと仁王立ちし、状態をチェックしていました。「舟入れ」という作業を日本で行なっているのは、もう『廣久葛本舗』だけになっているそうです。

 

たたきの作業が終わったところで、やっと白くツヤツヤに輝く葛粉の原型が完成です。

 

全体の空気が抜けたら木綿の布をかぶせ、その上に葛粉をまぶし、余分な水分を吸わせていきます。葛がカチカチに固まったら、豆腐大のブロックに切り分けます。乾燥用の室ぶたに並べ、半日日陰干ししたものを、葛専用の蔵で2ヶ月日陰干しして、そこからさらに1年の時間をかけ蔵で静かに自然乾燥させたものが「白い金」とも呼ばれる本葛となります。

“白い金”どころか“白いダイヤモンド”!手間を惜しまずに作られる「本葛」

白いダイヤモンド

このようにひとつひとつの工程が人の手を介し、葛の状態や気候に添い遂げることで、『廣久葛本舗』の本葛は水にも溶けやすく、かつ他にないなめらかさをもっています。

 

蔵で眠る本葛完成前の様は、感動という言葉では表現しつくせません。「白い金」ではなく、「白いダイヤモンド」以上の輝きがあります。

 

とろみ食材として使っていた本葛が、これほどまで手間暇をかけ時間をかけ作られていることを、料理家として知らなかったことが恥ずかしい……。さらにいうと日本の誇るべき食材なのに、多くの人が本葛の製法も知らないという残念さ……。

 

髙木久助さんにお話をきくと、過去には機械化しようかと考えたこともあったそうです。やろうと思えば、今では本葛を晒す作業も、機械化すれば瞬時にできるとのこと。しかし工程を機械化して合理化すると、同じ本葛にはならなかったのだそう。

 

現在の社長である髙木久助さんは、十代目。廣久葛本舗は襲名により代替わりし、製法は一子相伝です。日本の伝統産業には、同じように一子相伝で、次の世代にも残していくべき技が多くあります。それを私たちが正しく評価し使い続けることが、モノ作りをしない消費者の唯一の応援方法だと感じています。製法やこだわりを知ると間違いなく生涯のファンになります。

 

昔は、風邪やおなかの具体が悪いとき、お母さんが葛湯や葛煉りを作ってくれたものでした。葛は「葛根湯」の原料であり、薬草です。日本には食養生という言葉があり、食で養生、つまり身体をメンテナンスしてきたのです。

最後に、こんなにも手間暇かけた本葛を手軽にとれる私の必需品アイテムを紹介します。
それは「葛湯」。カップにいれて、お湯を少量注ぎ素早く混ぜます。本葛のとろみがでたら残りのお湯を注ぐだけで完成。生姜味、抹茶味、小豆味の3種類楽しめるセットはプレゼントにもピッタリ。体の芯からあったかくなり、飲み終わる頃には、ほっぺはほんのり赤みがさしてきます。

 

「葛をたべてぬくうなろう」お店のキャッチフレーズ。いいでね!

 

葛湯5個入り(ミックス)¥864(税込)

※掲載情報は 2019/01/23 時点のものとなります。

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キュレーター情報

タカコナカムラ

料理家/フードディレクター

タカコナカムラ

山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。

通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。

一般社団法人ホールフード協会 代表理事

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