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今年はレオナール・フジタ没後50年!
メゾン・マムでは親しい友人だったレオナール・フジタ(1886-1968)へのオマージュとして、5月に『RSRV ロゼ・フジタ』をリリースしました。
ボトルネックにはフジタがメゾンのために描いたバラが施されています。
夏の夕暮れ時をイメージしたロゼ
メゾンにとって、“リザーヴ”を意味するRSRVは、大切な人への贈りものとしてキープしておく特別なワインで、贈呈時には、丁寧に角を折りたたんだ訪問カードを添えるしきたりがあったので、ラベルはその伝統を模した革新的なデザインになっています。
厳選されたテロワール(畑の位置、気候、土壌等の生育環境)とグラン・クリュのみのぶどうから造られるRSRVの印こそがメゾン マムの最高評価のシャンパンである証し。同シリーズにはブラン・ド・ブランとブラン・ド・ノワールがあります。
ロゼ・フジタのぶどう品種はピノ・ノワール(アイとブージーとヴェルズネー)70%とシャルドネ(クラマンとアヴィズ)30%で、そこにアンボネイの赤ワインを添加、ドザージュ量は6g/L、セラーで4年間熟成させた希少シャンパンです。
最高醸造者のディディエ・マリオッティ氏は、「夏空がピンクやオレンジに変わる夕暮れ時、まだ温かさの余韻が残っている時間、空気感をロゼ・フジタで再現したいと思った」と語っていました。その色のイメージはブラッド・オレンジ、味わいにもその要素を感じます。
お御堂に賭けたフジタの想い
1959年(73歳)、フジタはランス大聖堂で洗礼を受けます。洗礼名はレオナール・フジタ。ゴッドファーザーを務めたのはメゾン・マムの当時の社長ルネ・ラルーでした。彼はフジタの良きパトロンであり、ふたりは強い絆で結ばれていました。
この9月、NHK『日曜美術館』で、「知られざる藤田嗣治~天才画家の遺言~」というタイトルの放送があり、そこで世界初、フジタの肉声が紹介されました!
1965年(79歳)の夏に、フジタが自作自演で遺していたテープです。
舞台は自宅。そこに、死神が訪ねてきます。
フジタは「名声や財宝には興味も未練もないが、もう少し仕事がしてみたい。80歳まで生きてこれたのは、神様のお陰だと信じている。その神様にお礼の気持ちで、小さなお御堂を捧げたい」と語っているのです。
フジタは、ラルーの全面的な協力を得て、礼拝堂建立に取りかかります。
3月に建設工事開始、5月末に建物が出来上がり、6月には内部のフレスコ画制作に着手します。8月末にお御堂は完成し、『ノートルダム・ド・ラペ礼拝堂』と命名されます。その年の暮、フジタは病に倒れ、約1年間の療養の後、1968年(81歳)、この世を去ります。
フジタはテープのなかで、“絵には永久に生きている魂があると思っています”という言葉を遺しています。
お酒が飲めなかったフジタですが、シャンパーニュ地方の名門メゾン・マムのルネ・ラルーとの絆によって、フジタのバラはシャンパンとともに生き続けています。
没後50年 藤田嗣治展
現在、レオナール・フジタの最大級の展覧会が東京で開催されています。継続して10月19日からは京都で開催されます。約50ヶ所を超える国内所蔵先に加え、フランス、スイス、ベルギー、アメリカ等、10ヶ所を超える海外の所蔵先から代表作を集めているので、見応え十分。本物ならでは魅力が堪能できます!
売店にはメゾン・マムのシャンパンも並んでいますので、併せて、お楽しみいただけます。
東京都美術館(東京・上野公園) 7月31日~10月8日
京都国立近代美術館(岡崎公園内)10月19日~12月16日
http://foujita2018.jp/
※掲載情報は 2018/09/24 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインジャーナリスト
青木冨美子
NHK、洋酒メーカーを経て、現在フリーランス・ワインジャーナリスト。(一社)日本ソムリエ協会前理事、機関誌『Sommelier』前編集長。17世紀、3つのコトー(丘陵斜面)で造るシャンパンの愛好家によって組織された「オルドル・デ・コトー」が起源の由緒ある団体『シャンパーニュ騎士団』から2009年5月シュヴァリエ(騎士)受章、2012年5月には、オフィシエ(将校)受章。2013年4月オーストラリアワイン名誉スペシャリスト受賞、ワイン本の執筆や監修、企業向けのワイン講師。『NHK文化センター青山校』、『ホテルオークラ ワインアカデミー』専任講師。Facebook『ワインのこころ Non Solo Vino版』でワイン情報発信中。著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社)』、『映画でワイン・レッスン(エイ出版)』監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』ほか。