カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

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絶対王者のガトーショコラはカレーの強い味に負けていない

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

マリアージュ、という言葉がある。フランスの言葉で直接的に訳せばそれは「結婚・婚姻」の意味だ。が、しかし。彼の国の叙情的、ないしはメタファーとしての表現法で、ふたつのものがひとつに調和するという意味でも使われる。誠に芸術的、詩的表現でカレーライスに使うにはちょいと洒落が過ぎる感もあるが、カレーとのマリアージュ問題というのがある。一つは飲み物、もう一つはデザートだ。

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

カレーに合わせる〇〇問題は根が深い。
カレーというもの、強い個性を持った味で、なおかつその範囲が茫洋として広大だ。カツカレーもカレー。南インドのサンバル(野菜煮込み)もカレー。ミャンマーのチェッターヒンも日本人にとってはカレーかもしれない。欧風カレーという日本発祥のカレーもある。
それらとの相性。飲み物に関しては、もちろん千差万別なのだが比較的ワインが合わせやすいと思っている。特にムガル料理のくくりのインドカレーにはワインがよく合うと感じる。

 

さて、デザート。これが難しい。
郷土料理という括りでのカレー、各国に当然ご当地の甘いものはあって、それを合わせるのがいいに決まっている。タイ料理だったらカオニャオ・マムアン(マンゴー、甘く炊いたもち米添え)、カノム(タイの生菓子)類、特にココナツミルクとタロイモのプディングのカノムモーケンなどフレンチのラストに出てきても気がつかないのではないか、という上品味。インド料理でもグラブジャムーン(インドスタイルのカッテージチーズに小麦粉などを混ぜて練ったものを揚げて砂糖水に浸したもの)、クルフィ(アイス)、バルフィ(半生ミルクケーキ)にファルーダ(インドパフェ)等々。スリランカのプディング、ワダラッパン。これもイタリアンの最後に出しても誰も気づかないであろう、癖のないうまいものだ。
世界には、アジアにはおいしいデザート、知られざるデザートがたくさんある。

 

さて、日本に戻ってきて、カレーに合わせるデザートだ。デザートを最後に出すようなカレーであればカツカレーだなんだという話にはならないだろう。やはり少し高級、ヨーロッパの煮込み料理がその土台になっている欧風カレーとなる。サラダがあって小さな前菜を2つほどつけて、そのあとに欧風カレー。これは小さなコース。そうくれば最後にやはりデザートが欲しい。さあ、何を選ぶか。「mariage de Curry et Le dessert」というわけである。

 

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

わたしならあれを選びたい。ガトーショコラ。それもそんじょそこらのものではない。『ケンズカフェ東京』の「特撰ガトーショコラ」。本当に大事に思っているスイーツなのだ。

 

『ケンズカフェ東京』の氏家シェフとは仲良くさせていただいている。だから紹介するのではなく、このすごいガトーショコラを作っているのが、たまたま機会あって知り合った氏家シェフであったことが素晴らしいことで、いつもカレーの記事を見てくださっている皆さんにも紹介をせねばというちょっとした使命感のようなものを感じてしまったからなのだ。

 

言わずもがなの「特撰ガトーショコラ」。
意外と知られていないのが、小麦粉不使用のグルテンフリースイーツであること。これは昨今大事なことで、カレーでも、日本のスタイルのカレーライスでは小麦粉が入るものが多いため、大麦を使ってグルテンフリーを考えるメーカーも出てきている。食べられる人の間口が広いのはとてもいいことだ。

 

とにかく素材の強さ、良質さとシンプルさを極限まで持っていった「特撰ガトーショコラ」は素晴らしいもの。基本は冷蔵保存で約2週間保存が可能だ。実はここに楽しみ方のバリエーションが隠れている。

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

冷蔵保存の状態でナイフを入れればみっちりと目の詰まった生チョコ感覚。その凝縮感を楽しめる。口の中でゆっくりほどけていく感覚を味わうならこれがオススメだ。
冷蔵庫から出してしばらく置き、常温まで戻してやる。すると食感にとろんとした柔らかみが出てくる。ゆっくりと口の中で粘りながらとろけてゆく、官能的とも表現できそうなこの感覚はなかなか他に代え難い。冷蔵保存のものより香りの上がりが強くなるのが嬉しい。

 

そして、レンジアップ。お好みだがほんの15秒ほどで中に潜むチョコレートがふるふると流れ出し、まるでフォンダンショコラの様相だ。これまたたまらない。せひアイスクリームなど添えてみたいものだ。
変幻自在でしかもどの状態でも隙のない美味しさ。その秘密は素材。当たり前ながら料理の土台は素材のチョイスにつきる。

 

一番肝心なチョコレート。これは『ケンズカフェ東京』、氏家シェフがこだわり抜いてのチョイス。イタリアの『ドモーリ』創始者であるジャンルーカ・フランゾーニ氏自らの調合で完成させたクーベルチュール。その名も「KEN’S」。これを使用する。カスタマイズドクーベルチュール、ケンズカフェ東京オンリー。それだけでこのガトーショコラの価値がわかろうというもの。

 

ほかにも高品質無塩バターであるカルピスバターを使い、卵も「昔の味たまご」と呼ばれる天然飼料飼育の鶏から生まれる卵だけを選んでいる。

 

その味は大変印象深い。強く香るチョコレートの上質な香り。甘くない。甘いけど甘くない。そう例えたくなる大人っぽい着地点を1ミリ単位で追求した絶妙な味わい。ビターで香りよく、質の良いリネンのような柔らかくしなやかな食感。シルクではない。リネンなのだ。その素朴さと、素朴であるがゆえ厳選された素材の良質さが伝わる素晴らしいもの。

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

合わせたカレー。今回は誰もが知っている、その歴史は1983年から。35年も続くブランドだ。当時としては高めの値段設定であったが家庭で作るカレーライスとは一線を画すもので、レトルトカレーの価値観を変えたエポックメイキングな製品。わたしも大きなマッシュルームとビーフの美味しさに驚き、夢中になった記憶がある。

 

濃厚なカレーを食べ、満足感あるままでのガトーショコラの時間。欧風カレーの満足感強いままなのだが、カレーという強い味の食べ物にも一歩も引かない存在感で、なるほど、刺激のある料理、スパイシーなものの後でもまったく破綻がない。むしろカレーによく合うデザートとして、欧風、インド料理、問わずにマリアージュを楽しめる。これは目から鱗という感。
新しい扉を開いた感がある。

 

最近ではカレーパーティーと称してカレーを持ち寄ったりたくさんの種類を作ったりしてホームパーティーを楽しむスタイルがあるそうだ。
そんな折、この「特撰ガトーショコラ」を携えてゆけば、気の利いたプレゼントを持ってくる人として喜ばれることはまちがいない。

 

また、これは少々の妄想も入るがこのガトーショコラを欧風カレーのあるレストランで取り扱ったらいいかもしれない。カレーと料理の最後にこれが来れば深い満足が得られるだろう。お酒にも間違いなく合うので気の利いた夜のスイーツとしても有能だ。

カレーにはどんなデザートを合わせるか問題。

組み合わせで豊かになる食卓。それを強く支えてくれる特別なガトーショコラがこれだ。

※掲載情報は 2018/07/21 時点のものとなります。

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飯塚敦

カレーライター・ビデオブロガー

飯塚敦

食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。

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