爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

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たい焼きなのに爽やか?! そして情熱の味って?

まずは、私のつけたタイトルに、「この文章表現、いかがなものか」と、ライターとしての私の仕事ぶりに苦笑される方がいるかもしれない。確かに変だ、と、書いている本人もそう思う。でも、表現するならこれしかないのだ。「もしかして、中身は餡子ではないのでは?」と、思われた方がいるなら、NOと返そう(笑)。これは、正真正銘、餡子の入ったたい焼きである。それなのに「爽やか」とは、どういうことなのか。
もしも、学校の国語の授業で、「あるものを簡潔に、且つ的確に説明する」という課題が出されたとしよう。そこで、先生が「はい、では、このたい焼きを味見して、食べていない人に伝わるよう簡潔に感想を述べなさい」と、教卓にたい焼きの乗った皿を置いたとしたら……。「このたい焼きは爽やかな味がします!」と答える私は、教室内の笑いものとなるだろう。「おーい、たい焼きにレモンでも入っているのか?」などと、ヤジを飛ばす男子生徒もいるかもしれない。
でも、『ともえ庵』のたいやきが教卓に置かれていたとしたら?…
そうしたら、笑いものになるどころか、「いいところをついた表現!」と褒められるだろう。私は、それくらい合致した表現だと自負している。
では、今回は、「変なのにその表現が当てはまってしまう、たい焼きの爽やかさ」をお伝えしよう。そして、「情熱の味」についても力説したい(笑)と思う。
力説は最後のメインイベント?として、その前に店舗の説明から始めよう。

阿佐谷パール商店街内のこじんまりした店舗

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

『ともえ庵』の店舗があるのは、阿佐ヶ谷駅からすぐのアーケード商店街「阿佐谷パールセンター商店街」内。ちょうど、アーケードの中程である。デパ地下でもなく、ファッションビルディングでもなく、アーケード商店街という立地もこの店の魅力のひとつだ。『ともえ庵』は、2014年11月、中野から阿佐谷パールセンター商店街に移転して今に至る。
実は、ここを見つけたのは、偶然の賜物であった。私は、阿佐ヶ谷の神社を崇敬しており、阿佐ヶ谷駅周辺にはよく出向く。ある日、パールセンター商店街にふらりと入り込み、『ともえ庵』を発見した。私は、甘いものを好んで食べないので、いつもなら当然見逃す店だ。
私は、単に「小腹が空いたから」という理由で、何気なく店内に入り、たいやきを注文した。「焼き時間がかかりますがよろしいでしょうか?」という店員の前置きに、急に期待感が湧き起ったことは言うまでもない。そして、待ちに待った焼きたてのたいやきをひと口パクついた時の感動は、いまだに忘れられない。食べ終えた時、あまりにも爽やかなあと味だったので、もうひとつ食べたい欲に駆られた。でも、焼き上がりを待つ客がいつの間にか列を作っており、その時は並ぶ時間がなかったので諦めた。

 

さて、たいやきは店頭販売のみだが、焼きたてを食べられるよう、店内には4人ほどが並んで腰掛けられるスペースがある。オーダー後、焼きあがるまでの待ち時間に紙コップに入れたお茶を出してくれる。お茶をすすりながら、自分のたいやきが焼きあがるのを待つ。この時間はわくわくする(笑)。

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

ここで、余談であるが、私は『ともえ庵』のあるパールセンター商店街のファンである。お目当ての店は特にないのだけれど、ふらりふらりと様々な店に入って物色するのが好きなのだ。
通りとしての歴史は鎌倉時代からで、ストリートそのもののヒストリーは古いのだが、アーケード商店街の誕生は、昭和37年(1962年)。「パールセンター」という名称は、この時、公募で決定された。このネーミング、昭和のレトロな雰囲気を醸し出していて、イマドキの商店街名としては、悪い意味ではなく温かい野暮さを感じる。その風雅さがほっこりするのである。「真珠の首飾りのように結び合って繁栄していこう」が、名称の由来だ(ほっこりアゲイン(笑))。
『ともえ庵』の焼きたてたいやきをハフハフ頬張りながら、阿佐谷パールセンター商店街散策も私のおススメだ。

香ばしい皮が特徴の一丁焼き

ともえ庵』には、たいやきの他にも気になる商品がたくさんある。
でも、今回は、たいやきに絞って紹介したいと思う。
ちなみに、気になる商品とは……。他店にはないオリジナルの「阿佐ヶ谷練乳餅」、そして、夏に販売される「頭がキーンと痛くならないやさしいかき氷」。かき氷は、未確認の味。なぜ頭が痛くならないのだろう?とワクワクしてしまう(笑)。今夏はトライしたい。
では、『ともえ庵』のたいやきの話を続けよう。
作り方だが、一匹ずつの型を使って強火にて焼きあげる「一丁焼き」と呼ばれる製法で焼き上げる。注文してから焼き始めるため、でき上がるまでに時間がかかる。でも、時間がかかってでも食べたい!
それは、皮が薄くパリッとしていて香ばしく、その中に上品な甘味の餡がたっぷり入っていて、極上の美味しさだからだ。一度食べれば、必ずまた食べたくなる!

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

爽やかなたい焼きの秘密

さて、冒頭のタイトルで、「爽やかなたい焼き」という理解されがたい表現を用いたが、一度、召し上がっていただければ、わかっていただけると思う。
皮の薄さと焼き加減、それに、最大のポイントは餡。餡の爽やかさを別の言い方で表現すると、「甘味がシンプルなのだけど、甘さが足りないわけではなく、ちょうどよい塩梅に仕上がっていて、上品な軽やかさ」。そう……良いところを挙げてみたら、長ったらしいのだ(笑)。だから、これらを爽やかという表現でまとめたのである。
まぁ、「さっぱりした餡」ともいえるのだが、私は「爽やか」の方が適していると思える。餡を食べているのに、口の中が清々しく軽いあと味。人に例えれば、純一無雑な人。餡嫌いな人でも「美味しい!」と顔がほころんでしまう爽やかなたいやき。
この品のある甘さの餡と、香ばしく焼けた皮のバランスが良い。この皮が餡の美味しさを増長させるし、餡が皮のこんがりとした食感を引き立てる。世の中、陰陽でバランスをとっているというが、『ともえ庵』の「たいやき」は、まさに皮と餡のバランスのとれた味わいだ。控えめにしたり、強さを出したりして、それらが相まって極上の美味しさとなる。
ああ、こんな風に書いていると、口の中は、あの香ばしさと上品な甘味を欲してしまう。明日にでも買いに行って食べたい(本気でそう思う)!!
そんな味を出せるのは、材料や技術よりも、作り手の愛情と情熱によるものではないかと思う。一丁焼きのたいやきに一番合う餡を何度も試作し、餡は、毎朝、じっくりと丁寧に焚く。そして、余った餡は、翌日に持ち越さないのだそうだ。妥協はしない。

筆者力説!情熱を感じるたいやき

私の過去のippinコラム記事をご覧下さった方ならわかっていただけると思うが、料理人の私が心動かされる食べ物は、すべて愛や情熱がかけられているものである。私が皆様に紹介したい商品は、すべてに愛が込められている。
今回のたいやきも然り。たい焼きなのに、爽やかさを感じるなんてすごいことだと思う。後に知ったことだが、このたいやきを生み出した『ともえ庵』オーナーは、情熱を持って臨んでいる(詳しくは、店のブログをお読みいただきたい。http://taiyaki-tomoean.blog.jp/ 
「ああ、やっぱりね、これは美味しいわけだわ」と後々、自分の味覚に感心すらしてしまった(笑)。

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

「たいやき」以外のメニューにも、その情熱を感じる。
普通のたいやき以外にも、白玉が入った「白玉たいやき」、そして、10月から4月までは「月替わりたいやき」がある(最近の月替わり。1月「酒粕たいやき」、12月「紅玉りんごたいやき」)。

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

「白玉たいやき」は、白玉がお好きな方であったら、是非ご賞味いただきたい。ただし、焼き上がるまでに、10分ほど時間がかかる。焼く際に餡に白玉を詰めるのに手間がかかるのだそうだ。それでも、『ともえ庵』が「白玉たいやき」を作る理由とは……?
以下、ホームページから引用。
“実はたいやきが本当に美味しいのは、朝一番のものです。餡の中にたっぷり水分が残っているので、焼き上がりをすぐに食べると餡がとろけて、まるで皮の中にぜんざいが入っているような仕上がりになるのです。
本当は、どのタイミングで焼いたものでも、朝一番のような仕上がりにしたいのですが、どうしても時間が経つと、餡の水分が抜け、それには及ばないものになってしまいます。
ところが、手づくりの白玉を入れたたいやきは、白玉の水分が餡に戻り、朝一番のたいやきと何ら変わらない餡の状態になります。さらに、とろける白玉の食感が加わり、「究極のたいやき」にまた一歩近づいたと、スタッフ一同が納得できるものに仕上っています”

 

うーん、この「たいやき情熱」は普通ではない、とみた!

新商品「たいやきの開き」

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

最後に、ユニークな商品を紹介したいと思う。
それは「たいやきの開き」。
焼いたたいやきを開いて、皮を乗せてまた焼いたもので、餡子味の南部煎餅のようでやみつきになるお菓子だ。
こちらも是非お試しいただきたい。

 

※1予約も可能。

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

 

※2
手土産用に10匹セットもある。

爽やか!そして情熱の味「たいやき ともえ庵」のたい焼き

コラム後記)
うーむ…
近々、阿佐ヶ谷に行くこととしよう(笑)

 

〒166-0004 杉並区阿佐ヶ谷南1-35-20
TEL:03-6383-2144
営業時間:11:00~20:00
定休日:月曜日

※掲載情報は 2018/02/01 時点のものとなります。

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キュレーター情報

中尾明美

料理家、ライター

中尾明美

東京都生まれ。一男一女の母であり、孫も持つ。五代続く医者の家に育った生い立ち、健康食品製造販売会社の代表を務めた経緯やがん克服経験から、医食同源を目指した食生活を推奨している。「DEAN & DELUCA」キッチンスタッフ、「リストランテアロマクラシコ」キッチンスタッフを経て、イタリアフィレンツェの料理研究家に師事し、現在も厨房に立ちつつ、会費制食事会「プライベートダイニングRoom A’s Tokyo」、料理教室「Class A’s Kitchen」、出張料理「A’s Kitchen」を主宰。食材・調理器具と波動を合わせた調理、化学調味料を使わない優しい味にはファンが多い。2018年4月よりELLEgourmetフードクリエイターメンバー。

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