記事詳細
紹介している商品
江戸時代より栄える職人文化の町に新しい風
墨田区両国は、昔から伝統工芸の工房、小さくても優れた技術を持つ町工場があるモノづくりの町。町を歩けば、忙しく働く職人さんの姿を見ることができます。
私は幼い頃からここで育ち、今も祖父が診療をしていた両国の診療所跡でグラノーラのラボをやっています。
そんな両国に1年前「ラ クロワーゼ」というパティスリーがオープンしました。
ラ クロワーゼのある地域は葛飾北斎生誕の地。
昨年には北斎美術館が開館、北斎祭りが催されるなど、内外から注目される江戸情緒あふれる場所なのです。
オーナーシェフパティシエの柄澤忍さんは独立前、ハプスブルク家に愛されてハンガリーの至宝とも言われている「カフェジェルボー東京本店」でシェフパティシエを務めていました。
ご自身が体調を崩したのと娘さんが中学生になるのをきっかけに、パティシエールである奥様のサポートもありながら、人のつながりのあるモノづくりの町に自分のお店を構えることを決めます。
ハンガリーの伝統菓子を作っていた職人が選んだのが、下町両国だったのです。
私は初めてお店に伺った時、すごくワクワクしたのを覚えています。
「見たことがない美しく独創的なケーキを作る方が下町に来てくれた!」と。
柄澤さんのケーキはビジュアルの美しさも発想もオリジナリティに溢れています。
ラ クロワーゼは、下町の新しい風だと感じました。
新しいけれど、柄澤さんの職人としてのこだわりと思いが、本当にモノづくりの町両国らしくてしっくりとくるのです。
固定概念をこわす発想から生まれた米粉100%
ラ クロワーゼのケーキの中で、私が今回ご紹介したい逸品は「ルレ ド リ」(¥340税込)というロールケーキ。
きれいな焼き色、まあるい幸せのかたち。
シンプルな見た目ながら、実はこのロールケーキ、米粉100%!!
小麦粉を一切使用していないのです。
国産米粉を普及すべく製粉会社の商品開発や勉強会に携わっていた柄澤さん。
グルテンを含まない米粉だけで、ふんわりとおいしいスポンジ生地をつくるのは至難の業。
お餅のようになってしまい、お菓子作りに米粉が使われ始めた当時は無理だと言われてきました。
しかし、「お菓子作りは分子レベルの化学だ」と修業時代から師匠に教わり実践してきた柄澤さんにとっては、グルテンが無くても生地をつなげてふんわり口どけ良くする方法が自然と頭の中でわかっていた、と言います。
できないと言われることは真逆をやってみる、固定概念をこわす精神から新しいものは生まれるんです、と職人としての思いを教えてくれました。
しっとりとくちどけ良い、日本の職人技ロールケーキ
ルレ ド リ=お米のロール。もう、ものすごくしっとりとしています。もちっと感もあって、口に含むとクリームとあわさって、すーっと溶けていきます。他の米粉使用ロールケーキと比べても口の中の水分を奪わず、すっと入ってくる生地。
グルテンフリーブームとはいえ、それだけではなくお米って日本人の根本的なところに働きかけてくれる、と思うのは私だけでしょうか。食べているとすごく落ち着くのです。
同じスポンジ生地をショートケーキにも使用していますが、米粉の生地にあわせるクリームはロールケーキには北海道純生クリームの40%、ショートケーキは43%と使い分けているそう。植物性のクリームを混ぜず、国産純生クリームをあわせるというところが柄澤さんのこだわり。
シンプルなロールケーキにこそ、材料とその合わせ方にこだわりがぎゅっと詰まっています。
「ルレ ド リ#4」という大きなサイズ(¥1,450、フルーツデコレーション有¥1,750税込)もあります。ロールケーキってシンプルだからこそみんなが大好き。ご家族やお友達との集まりにも最適です!
また、ラ クロワーゼには葛飾北斎の赤富士、黒富士を模した、美しい「ルージュ」「ノワール」というケーキもあって、まるい形のロールケーキと共に、新たな年に向けた縁起の良い手土産に。
江戸から栄える職人の町には、今も良い職人がいます。
ラ クロワーゼは交差点という意味。
人が交わり、出会う場所。お店を通じて人と人がつながります。
下町の粋な職人魂と、固定概念を覆すケーキぜひ出会ってみてくださいね。
※掲載情報は 2017/12/26 時点のものとなります。
- 10
キュレーター情報
グラノーラ研究家
梶原はるき
法政大学人間環境学部卒業。
新卒でメガバンクの法人課で働く。趣味で取得したパン教室講師資格を活かして障がいを持つ子どもたちのパン教室を開催。専門学校に通いパン製造を学ぶ。
銀行退職後、専門学校の友人がオープンした横浜のカフェの立ち上げに関わり、接客や調理、パン製造を担当。
平成27年4月17日~
地元両国の祖父の診療所だった場所に
FUTABA BAKERYをオープン。
グラノーラによってバランスの良い食事に改善、体重減少した経験と代々町医者の娘ということもあり「食で健康を届けたい」とグラノーラ製造と研究をスタート。
プロの料理人も認める美味しさの高品質グラノーラを通じて、障がい者のパワーを活かした仕事創出すべく、祖父の診療所跡地のラボにて朝ごはんだけではない無限の可能性を秘めたグラノーラの商品開発・メニュー開発を行っている。