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加賀菊酒を醸す白山水系を、伝統的熟練の技で本格的な酢へ
北陸と言えば、回転寿司のレベルの高さは言わずと知られている。お寿司はしゃりやネタはもちろんのこと、酢でも味が大きく左右される。長い順番待ちで有名な回転寿司「もりもり寿司(石川県松任店)」さんに行った。16番の札に一瞬驚いたが、北陸だからこそ回転寿司は外せない。酢の酸味がほどよい塩梅で、新鮮なお寿司を満喫することができた。
この「塩梅(あんばい)」という言葉の語源は、「酢と塩の加減が良い」という意味だ。回転寿司だが、まさに「良い塩梅」とはこのことだ。店内を見回していると、どこのメーカーを使用しているか看板が出ており、寿司酢には高野酢造さんの名前がかけられていた。
高野酢造さんは、今年開山1300年になる白山山麓の伏流水を使った酢のメーカー。石川県白山市で、酢を醸造しているところは唯一ここだけ。機械を使わない丁寧な製法を守り続けている。頑固なまでのこだわりが、家庭の食卓だけでなく、回転寿司を支える酢としても選ばれている理由なのだろう。その高野酢造さんが、そのこだわりで作った「金澤ゆずぽん酢」を、簡単なレシピとともに、今回はご紹介したい。
夏の暑さが通り過ぎ、そろそろ秋の行楽を検討している方もいらっしゃるだろう。石川県金沢の奥座敷には、あまり知られていないが湯涌温泉がある。温泉ソムリエの私が密かに気になっている場所であり、その湯涌街道は別名「ゆず街道」と呼ばれ、秋になると黄色く実った柚子の木々が道を彩るとのこと。「金澤ゆずぽん酢」はその柚子を使って作られているのだ。金澤ゆずの生産はとても少なく、希少なものと言える。
高野酢造さんの「金澤ゆずぽん酢」は、柚子の香り控えめ。日本伝統的製法の「静置醗酵法」によってゆっくりと作られた酢、国産原料にこだわった丸大豆醤油、希少な金澤ゆず、ビタミンとミネラルを含んだ粗糖を使用。もちろん、すべて国産だ。バランスがよく、ゆずが控えめに存在を主張しているため、食材の美味しさを引き立たせてくれるのだ。
真夏の疲れも出てきているこの時期、スプーン一杯の酢が疲労回復に良いと言われている。しかし、実際に酢をそのまま飲むのは抵抗がある方もいるだろう。そんな時に、酢を原材料としているポン酢であれば、幅広いお料理に取り入れることができる。実際に、いろいろなものに試してみた。その中でも、個人的には水餃子と「金澤ゆずぽん酢」の相性は絶品だった。
時短レシピには、さっと茹でたキャベツとミニトマトで、簡単な副菜にも。
水にさらしておいた玉ねぎスライスに、「金澤ゆずぽん酢」をかけるだけ。小口ネギを散らせば、さらに豪華な副菜になる。
何と組み合わせても、金澤ゆずがちょうどよい塩梅の「金澤ゆずぽん酢」。次回は、うどんに大根おろしとぽん酢でシンプルにいただきたいと思いつつ。
改めて、ぽん酢の美味しさを感じた逸品だった。
※掲載情報は 2017/09/18 時点のものとなります。
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キュレーター情報
発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー
高橋香葉
「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。
主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等