新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜

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お盆休みに新潟駅からバスで10分ほどにある「沼垂」という場所に行きました。「沼垂」読めますか、初めて聞く地名で「ぬったり」と呼ぶそうでが、普通は読めないですね。沼垂テラス商店街というものが真直ぐに通っているのですが、その先には煙突がニョキニョキ生えているような、まるで昭和30年代がそのまま冷凍保存されているような雰囲気なのです。沼垂テラス商店街は,当初あった堀を埋め立てられて作られ「沼垂市場」だった場所で「市(いち)」と言われる店舗が立ち並び、近くに大きな工場などが多かったこともあり、買い物や飲食をしたりする人々で溢れかえっていたそうですが、段々衰退して行きました。

新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜

しかし、近年この商店街の長屋を活かし、おしゃれなカフェ、レストラン、ギャラリーやアトリエ、雑貨ショップなど若い人達が店を開き、新たな文化コミュニティーを形成し、朝市や冬市が年間を通して行われる街に変身したのです。1軒1軒まわってみましたが、それぞれユニークなモノであふれており、客層も子連れの若い夫婦なども多く、また季節が変わったら市に寄りたいと思うのです。
さて、そんな沼垂ですが、信濃川河口の右岸付近に位置し、平安時代から有った地名だそうで、新潟でも有数の麹の町なのです。いくつも麹を扱った蔵や工房があるのですが、最初に出会ったのは、7~8年前でしょうか、新潟の白山神社参道に「古町糀製造所」の一号店が出来てそこで、「神社エール」という糀の甘酒に、高地産の生姜の絞り汁を加えた糀ドリンクだったのです。まず、ネーミングに引かれ、ボトルのデザインと「神社エール」というネーミングのセンスの良さに感心したのです。

新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜

沼垂には、この「古町糀製造所」があり、「今代司酒造」と今回ご紹介する「峰村醸造」の3つの醸造メーカーが揃っているのです。古町糀製造所は「糀」今代司酒造の「日本酒」、峰村醸造の「味噌」と三者は「醗酵・醸造」と繫がっており、沼垂では「沼垂れ醸す 地区」と蔵を見学したり、色々な醗酵食品を食べながら買い物も歩きながら出来たりする楽しい場所なのです。今代司酒造の蔵を見学し、終わりに日本酒の試飲を10数杯重ね、ほろ酔い気分で古町糀製造所で甘酒糀のアイスクリームをいただいたのです。糀と書きましたが、「こうじ」には2種類の漢字が当てられているのです。「こうじ」は、米、麦、大豆などの穀類で全体を表す文字が「麹」でこれは中国由来の漢字で、「糀」は明治時代に作られた「国字」で米糀のみの時に使用します。

話がそれてしまいましたが、アイスクリームを食べたあとに「峰村醸造」を訪ねました。峰村醸造は、日露戦争の終結した明治38年の創業で、越後味噌を造り続けていたのですが、その味噌を使って味噌漬けを大正10年から作りはじめて新潟では「漬物の峰村」として有名なのでそうです。(これは、新潟生まれのわが家のオクサマ談)その当時の溝漬けは塩分も多く「塩っぱい」味噌漬けだったのをもう少し上品な味噌漬けに工夫し熟成した味噌を何度も切り返して「べっこう漬」が開発されたのだそうです。漬物好きなのですが、味噌漬けはやはり、塩っぱいというイメージがあり、さほど好んではいませんでしたが、ちょっと気になるものを見つけました。

新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜
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だし味噌漬で生姜の入ったものを試食させてもらいました。味噌にだしのうま味が加わり、なおかつ生姜がぴりっとしているのです。生姜以外に、胡瓜、茄子、大根がありましたが、やはり、生姜が人気とのことで、刻んだ生姜と刻まないで丸のままだし味噌に漬け込んだ2種類購入しました。

新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜

その晩は新潟の別宅で、新潟市の秋葉区の酒米で作られた「嵩村桂」(村祐酒造)の純米大吟醸生貯蔵酒を、ちびちび飲みながら丸の味噌漬生姜のスライスをあてにしていただきました。生姜の味噌漬も日本酒も同じ醗酵、醸造なので相性はとても良くて、1本飲み切ってしましました。

新潟の醗酵文化「沼垂」で見つけたピリッと辛い、酒にもご飯にもあう味噌漬生姜
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刻んだ味噌漬生姜は、炊きたてのごはんにのせて一膳いただき、二膳目は湯漬けにしましたが、酒のはじめとしめにいただくのも乙なものですね。

※掲載情報は 2017/09/08 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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