酢の醸造元「齋造酢店」がつくった味ぽん酢で、ひやむぎを。

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寒い冬の夜、京都在住の友人宅で、彼の仕事仲間と鍋を囲んだ時のことです。

「鍋には、やっぱり、あの味ポンやろ?」、「そやなぁ。買って行こう!」

全員で鍋の具材を買い終え、彼らが最後に向かった場所は酢の醸造元でした。間口は狭いが、奥行きのある京都らしい町屋造りの店は、江戸時代から伝統の製法を引き継ぐ、老舗の醸造元。

「これ、これ」

彼らは満面の笑みを浮かべ、店先のカウンターに、控えめに並べられていた瓶を手に取りました。それが花菱の味ぽん酢です。京料理や高級懐石で使われてきた知る人ぞ知る味ぽん酢らしい。

 

早速、その晩、鍋のつけだれとして、いただきました。深みのある酢の味わいに、ゆず、すだちなど香酸柑橘がたっぷり使用され、香りもいい。鍋が主役なのに、僕は、この味ぽん酢に魅せられてしまいました。早速、購入して、岐阜の自宅に持ち帰り、湯豆腐や野菜サラダに使用していました。

 

先日、京都滞在の際も購入し、この夏は、ひやむぎやそうめんを、この味ぽん酢でいただくことにハマっております。途中で葱か大根おろしで変化をつけることもありますが、基本的には水の量を調節して薄めた、味ぽん酢だけで味わいます。シンプルであればあるほど、美味しさを味わうことができます。そして、味ぽん酢は日本が誇る調味料であることを改めて感じさせられます。

 

ちなみに京都弁で「美味しい」は「おいしいおす」です。

酢の醸造元「齋造酢店」がつくった味ぽん酢で、ひやむぎを。
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齋造酢店

※掲載情報は 2017/08/19 時点のものとなります。

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キュレーター情報

イシコ(石原英一)

旅行作家・エッセイスト

イシコ(石原英一)

1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科卒業後、大道芸を使った子供ショーをしながら全国を行脚する生活を10年程続ける。2003年(有)ホワイトマンプロジェクト設立。5年間限定で国内外問わず50名近いメンバーが顔を白塗りにすることでさまざまなボーダーを取り払い、ショーや写真を使った表現活動や環境教育を行う。一方、女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を経て、「MONOマガジン」や「散歩の達人」などに連載を持つようになり、エッセイストとしての活動を始める。2008年から2009年まで「SKYWARD」、「SANKEI EXPRESS」、「nakata.net」など新聞、雑誌、WEBに「旅」や「食」をテーマにした連載やブログを持ちながら世界一周。
帰国後、岐阜県安八町に移住し、ヤギと暮らしながら、「旅」と「散歩」をテーマにWEB、書籍、テレビ、講演、商品プロデュースなどを通して表現している。著書に「世界一周ひとりメシ」(幻冬舎文庫)、「世界一周ひとりメシ in JAPAN」(幻冬舎文庫)、「世界一周飲み歩き」(朝日文庫)がある。

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