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非日常を気軽に体験、そして日常を豊にしてくれる鎌倉の陶芸体験で作る「器」
先日、鎌倉にあるフレンチレストランに行きました。ロケーション、そしてそこで使われている素敵なグラスやお皿に美しくお料理を盛り付けられるお料理も素晴らしく、ある一枚の和皿に私の心が奪われました。それはまるで上質な和紙のようなお皿でした。
「どこのお皿だろう⁇誰が焼いたお皿だろう??」
こんなにもそう思えたこのお皿との出会いは、この仕事をしていて喜びと幸せを感じられる瞬間でもあります。
レストランの方へ質問攻めにして早速向かったのは、江ノ島電鉄の長谷駅からすぐの「陶工房DAN」です。
そして玄関まで迎えに来てくれた男性が、あの和皿を焼いた陶芸家・夏川統二郎氏その人でした。
とても物腰が柔らかく聞き上手な人柄に、すぐに私は夢中になりました。
実は夏川氏が陶芸の世界に足を踏み入れたのは意外にも最近です。それまでは建築系のサラリーマンを始め、周囲の環境に馴染むことが出来ず様々な職を転々としました。色々な痛みと苦しみを抱え一時期は引きこもりにもなったほどだといいます。そんな時に叔母が陶芸をやっていたことを思い出し、体験したところで陶芸の面白さに気付き「いずみ陶芸学院」に通うようになりました。41歳の時でした。
「本当に陶芸がぼくの人生を変えてくれました」
遠慮がちな笑顔でそう語る夏川氏。
そして「きっかけはわかりませんが、特に最近レストラン関係者からの問い合わせが多い気がします」と少し得意気にも照れくさそうに、笑いながら語ってくれました。
実際に焼いたお皿からは彼の苦労から生まれたであろう、人への優しさや温かさをとても感じるのです。
目利きの料理関係者が注目するのも、当然かもしれません。
こちらの「陶工房DAN」では陶芸体験も行っています。
私もさっそく夏川氏に手ほどきを受けながら、電動ロクロ体験をさせていただきました。
作りたいものをイメージして自分の手を使って形になっていく姿は、作っている最中から愛おしい気持ちになります。
非日常を気軽に体験でき、自分で作った思い出ある作品に、作った料理をのせていただく。
日常が豊かに感じられる楽しみ方が増えたような気がします。
※掲載情報は 2017/06/29 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家・食アートコーディネーター
中村まりこ
SHOKUart代表
料理家
東京出身。
ELLE grumet フードクリエイター部、料理教室 鎌倉legame cooking 主宰、フードスタイリング、レシピ開発、イベント講師、食に関する記事の執筆、を中心に活動。
食に造詣の深い父とウクライナ人の母から2つの食文化を習得。世界23ヵ国で生活した高校3年間を原点に、料理の道へ。
和食材も自由に取り入れた料理ジャンルからでなく素材からボーダレスな料理を経験上を軸に独創的な組み合わせで「empirical&unleash」を表現する「SHOKUart」設立。
外国の方にむけて「私達の日常の和食を伝えたい。」思いから、日本家庭料理の料理教室 "Authentic Japanese Cooking Class" も主宰。
外国人向けのWedマガジンサイトへのレシピ提供も手掛ける。