100年以上、変わらぬ味を守りぬく。葉山・永楽家の「黒糖まんじゅう」

100年以上、変わらぬ味を守りぬく。葉山・永楽家の「黒糖まんじゅう」

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陰翳礼讃 ― 葉山の地で厳選素材から作り出される、老舗の良心が詰まった漆黒の餡

三浦半島の入り組んだ海岸線に沿って、細く曲がりくねった小道を葉山元町交差点から逗子方面に行くと、見落としてしまいそうなほどにひっそりと上品な佇まいの和菓子店があります。
明治42年以来、100年以上続く老舗和菓子店、永楽家さんです。
森戸海岸からの潮風にそよぐ暖簾に穏やかな海を感じながら、店内を垣間見るのが難しいくらい眩しい葉山の太陽を背にして。
千本格子のファサードをもつ和菓子店の外観は、黒く漆黒の餡のように謎めいて見えます。

100年以上、変わらぬ味を守りぬく。葉山・永楽家の「黒糖まんじゅう」

一瞬の戸惑いを感じながらも、暖簾をくぐります。
陽光がさんさんと降り注ぐ店外から、室内の明るさに目がなじむと、カウンターに何十年と鎮座してきたようなレトロなレジスターや、丁寧に和菓子が並べられたガラスショーケース、真空管ラヂオなど、時が止まったような、昭和の懐かしい雰囲気に包まれていることに気づきます。

 

ほどなくして、穏やかな表情の若い店主が出迎えてくれました。
ガラスショーケースの中には、せんべい、最中、白黒のまんじゅう、柏餅などもありました。
永楽家さんの和菓子はいずれも素材選びにこだわっているようで、保存料や添加物などは一切、使用されていないとのこと。「良質の材料だけを厳選し、変わらぬ味を守りぬくこと」、のれんと共に創業来の良心は若い店主に脈々と受け継がれてきています。

 

店主が心を込めて作るおまんじゅうは、柔らかさを維持する添加物なども入っていないので、生もの同様に鮮度が命です。お店で頂くか、服についた潮の香りが消えないうちに持ち帰って頂くことで、その絶妙な風味を堪能できます。

100年以上、変わらぬ味を守りぬく。葉山・永楽家の「黒糖まんじゅう」

数ある永楽家さんの和菓子の中でも、シンプルでありながら、永楽屋さんの魅力がたっぷりと詰まった和菓子としておススメなのが、黒糖まんじゅうです。
一見、小振りなおまんじゅうは、柔らかくも存在感ある皮の中に、たっぷりとしたこし餡で満たされており、練りこまれた沖縄県波照間産の黒糖がしっとりとした食感と上品な香りをもたらしてくれます。甘さは控え目で、お抹茶と一緒だと、お抹茶の味や香りも際立たせてくれます。
何を隠そう私は、餡子といえば「粒餡」派ですが、永楽家さんの「こし餡」だけは別格で、こされた餡にもしっかりとした素材感と原材料の香りを感じるので、美味しく頂けます。

100年以上、変わらぬ味を守りぬく。葉山・永楽家の「黒糖まんじゅう」

葉山といえば御用邸を思い浮かべますが、やはり昭和天皇にも愛された、お店のようです。
葉山を訪れたら、是非、お店を見つけて、お土産話とともに持ち帰っていただきたい逸品です。

※掲載情報は 2017/04/20 時点のものとなります。

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キュレーター情報

中村まりこ

料理家・食アートコーディネーター

中村まりこ

SHOKUart代表
料理家

東京出身。

ELLE grumet フードクリエイター部、料理教室 鎌倉legame cooking 主宰、フードスタイリング、レシピ開発、イベント講師、食に関する記事の執筆、を中心に活動。

食に造詣の深い父とウクライナ人の母から2つの食文化を習得。世界23ヵ国で生活した高校3年間を原点に、料理の道へ。

和食材も自由に取り入れた料理ジャンルからでなく素材からボーダレスな料理を経験上を軸に独創的な組み合わせで「empirical&unleash」を表現する「SHOKUart」設立。

外国の方にむけて「私達の日常の和食を伝えたい。」思いから、日本家庭料理の料理教室 "Authentic Japanese Cooking Class" も主宰。
外国人向けのWedマガジンサイトへのレシピ提供も手掛ける。

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