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白山開山1300年の白山伏流水が生み出す「あんころ餅」
竹の葉に包まれた、「日本昔話」に出てきそうな「あんころ餅」をご紹介したい。石川県の白山市観光連盟アドバイザーとして、何度も白山市に行っているのにも関わらず、一年間買うことができなかった逸品がある。それが、創業元文2年(1737年)と280年続く老舗、圓八さんの加賀名物「あんころ餅」。小松空港と北陸新幹線/金沢駅に売っているにも関わらず、仕事を終えて帰る時間には、どこを探しても完売。売っているところを見たことがない。
一年経った時、ちょうど仕事で必要なものを白山市の方から宅配していただくことがあった。宅配に出す当日、圓八本店近くを通るという話を聞き、「あんころ餅」を一緒に送ってほしいとお願いした。
竹の皮を開けてみると、つまようじが一本入っている。これなら、石川県を散策しながら、新幹線の中でも、いつでも食べることができる。一番驚いたのは、「あんころ餅」がいくつ入っているか分からず、どこから食べていいのか分からなかった。もともとは丸く作られており、箱入りで購入すると丸い形をしている。しかし、竹の皮に包んだ商品はつぶれてしまうため、このような形になる。これが280年続く昔からの形なのだろう。
石川県白山市では、知らない人がいないほど有名。祖父母が白山市に住んでいる愛知県在住の知り合いによると、「白山に行ったら、小さい頃からあんころ餅を必ず食べていたよ」とのこと。圓八さんの「あんころ餅」を知らない人はいないのだ。まずは一口、つまようじで食べてみた。
餡が多いかと思いきや、優しい甘さでしっとりとしている。お餅もふわふわで食べ始めたら止まらない。竹の香りが上品にふわっと香るのも、昔ながらの日本らしい和菓子であることを感じる。お友だちにも1つお土産にしたところ、子供たちで取り合いになり、あっという間になくなったとのことだった。甘さがちょうどよく、ついついもう一口と食べたくなるのだ。
このコラムと書く帰りの新幹線で食べようと金沢駅新幹線構内に立ち寄った。週末の午後2時半でも、すでに下の写真のように棚は空っぽ。次回は、圓八本店に行こうと思った。金沢駅から北陸本線で3駅(10分)の松任駅に圓八本店はある。金沢駅はホテルの予約もなかなか取れないが、松任駅は穴場な場所のため、私はいつも松任駅で宿泊している。
何度食べても飽きない味。そして、手土産にするには、お手頃な価格。大人から子供まで、誰が食べても美味しく、お餅を探す楽しみもある。縁起の良い竹の皮で包まれているのも、もらう側にとってはうれしい。
金沢駅に行くと和菓子のメーカーが多く、どれを買ったらよいか選ぶのに迷ってしまう。280年の老舗圓八の「あんころ餅」は、その期待を裏切らない手土産だ。
※掲載情報は 2017/03/15 時点のものとなります。
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キュレーター情報
発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー
高橋香葉
「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。
主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等