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栗が丸ごとぎゅっぎゅっと入った、甘さひかえめ蒸し羊羹
月よみとは秋の季語。良寛の歌「月よみの光を待ちて帰りませ山路は栗のいがの多きに」が、商品名の由来になっているそうです。この季節は果物や穀類などが実りの秋を迎え、それぞれが一段と美味しくなりますが、その中でも一番に浮かぶのは栗です。料理、和菓子、洋菓子に素材としてもメインにもなるのが栗です。そして昔から栗と日本全国どこでも栽培が可能だった小豆との組み合わせは、豊穣の喜びを自然に受け入れた日本人の知恵と美意識の絶妙なバランスなのではないでしょうか。
この栗むし羊羹「月よみ山路」は、石川県小松市にある松葉屋さんのものです。江戸時代末期1852年創業、現在の当主は5代目になります。この地方で松葉屋と言えば、「栗むし羊羹」と答えるほどの有名店です。この「月よみ山路」の特徴は、竹皮に包んで蒸していること。なので竹皮のほのかな香りと、葛粉を加えて練って蒸し上げた餡は独得の歯ごたえを残しています。けれど、ねっとりとねばりつくようなところはなくさらっとしていて、餡の中に丸ごとごろっと入った手を加えていない栗がとても魅力なのです。竹皮を広げ、隅から隅まで大きな栗を敷き詰め、餡と一緒に包んで蒸していますので、どこを切っても栗が必ず出てきます。口の中に広がるほっこりとくずれる栗の香ばしさが一層餡に風味を添えています。素材の純粋さと形の素朴さ、そして色と香りが一体となって飾らないものになっています。松葉屋の「月よみ山路」は、手作りのため包みを開けた時の形が不揃いなのもとてもあたたかさを感じます。
※掲載情報は 2016/09/17 時点のものとなります。
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キュレーター情報
パンシェルジュ
石野衣絵子
パンと菜食料理教室「る・くりま」主宰。各種天然酵母で作るパンとゆるいマクロビをベースにした菜食料理が得意。日々作るパンや料理は、美味しくそして安全であるべきだと考えています。素材選びと素材が持つ力を信じて、引き算で作る工夫がいっぱいのレシピが好評。料理教室やパン教室に通うのが趣味だったのですが、気が付いたら教える立場になっていました。教室運営の傍ら、企業向け講師・区民講座・レシピ開発・調理指導委託業務。リマ・クッキングスクール師範科卒業。みそソムリエ。調理師。