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「闘牛」と聞くと、スペインの闘牛場で行われるような、人と牛との対決を思い描く人も多いかもしれませんが、実は日本でも、庶民の娯楽として、牛と牛を戦わせる闘牛が行われています。そして、あまり知られていませんが、沖縄県でも、戦前から今日に至るまで、「ウシオーラセー」と呼ばれる闘牛が親しまれてきました。県内には13か所もの闘牛場があり、約600頭もの闘牛が飼育され、年間30回ほど開かれる闘牛大会で熱戦を繰り広げています。
闘牛用の牛は全国各地から集められ、日々のトレーニングを積んだのち、3歳~10歳くらいまで大会に出場します。勢子(せこ)と呼ばれる闘牛士が横につき、牛を奮い立たせる掛け声をかけながら、900㎏を超える大きな肉体をぶつけ合います。どちらかの牛が戦意喪失し逃げた時や、技が決まって動けなくなってしまうと、勝負は終了となります。数秒で勝負が決まることもあれば、数十分、1時間と続くこともあり、手に汗握る展開に魅了された多くの闘牛ファンで、いつも闘牛場は満席状態です。
闘牛の維持継続のために
熱烈ファンが多い闘牛ではありますが、闘牛を1頭育てるための手間暇は相当なもの。毎日、餌となる生草を刈り、散歩やトレーニングを行う必要があります。大会前ともなればさらに練習に熱が入ります。手がかかる点では乳牛や食用牛などほかの飼育牛も同じかもしれませんが、一番大きな違いは、闘牛は「お金にならないこと」。牛乳が売れるわけでもなく、ブランド和牛のように育てたら高額で取引されるわけでもなく、さらに、大会で優勝したとしても、多額の賞金が入るわけでもありません。専門で飼育する事業者がいるわけではなく、牛主の「闘牛が好き」という想いだけで、個人的に飼育が行われているのが現状です。
このような状態が続くと、闘牛文化が廃れてしまうのではないか、自分にできることはないかと考えたのが、闘牛が盛んな沖縄県北部・今帰仁村で、観光業や宿泊施設、飲食店などを営む上間商店株式会社の上間社長でした。白熱した戦いの中で、運悪く回復不能な怪我をしてしまった闘牛や、引退した闘牛の一部は、今まで関係者の間でだけ食用されてきたことに着目。引退牛の引き取り先が確立され、牛主に還元されるようにすることで、沖縄の闘牛文化の維持発展に寄与したいと考えたのです。
日本初!闘牛肉を使用したカレー
そうして生まれたのが、日本初となる「闘牛カレー」。
日本各地で闘牛が行われていますが、闘牛肉を使ったカレーの開発は今までなかったそうです。闘牛肉を100%使用しているのはもちろん、沖縄県の特産品であるパパイヤや島とうがらしも使用しています。
鍛え抜かれた闘牛の肉は脂肪分が非常に少なく、そのまま焼いて食べると歯ごたえがあり固いのですが、カレーにしてしっかりと煮込むことで、一般的な食用牛の赤身肉と同じ程度まで柔らかく仕上げています。島とうがらし入りでちょっと辛めのルーはたっぷり250ℊあり、その中に大きく切られた闘牛肉がごろごろと入っています。肉の脂肪分が少ないためか、1袋あたり303kcalと、レトルトカレーにしてはカロリーが少なめです。
また、闘牛をもっと知ってほしいという想いから、パッケージには「闘牛カード」が同封されており、沖縄の闘牛の情報が掲載されています。(ちなみに集めるとカード遊びができるようになっています)
上間社長によると、「今後は、関連グッズや闘牛ハンバーグなどの開発を手掛けたい。沖縄県の闘牛文化の維持発展に貢献できれば」とのこと。
闘牛大会は、年間を通して盛んに行われています。昨年からうるま市など県内各地で闘牛を盛り上げるための取り組みも行われています。一度見れば、その迫力の虜になってしまうこと間違いなしなので、沖縄にお越しの際には、ぜひ足を運んでみてくださいね
会社名:上間商店株式会社
住所:沖縄県国頭郡今帰仁村字今泊3570番地
※掲載情報は 2016/08/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ソルトコーディネーター
青山志穂
東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。