京都の老舗和菓子店が作った身体に優しいGI値の低い菓子「焼き鳳瑞 種まき」

京都の老舗和菓子店が作った身体に優しいGI値の低い菓子「焼き鳳瑞 種まき」

記事詳細


紹介している商品


GI値の低い素材を使った京都発の和菓子

京都は一度は住んでみたいと思っている町です。年に数回は京都に訪れますが、何が京都に人を引きつけるのでしょうか?古くから歴史のある町ですが、単に古いというだけではなく、常に新しい命が吹き込まれているのです。伝統的な意匠が今の時代にマッチングする商品として、老舗から続々出てくるのを見ていると京都の底力はすごいと思うのです。今回はそんな京都の老舗和菓子店の紹介です。

 

享和三年(1803年)に 京菓子の名門菓子司・亀屋良安から暖簾分けして、「亀屋良長」が誕生しました。その場所は、京都の四条醒ヶ井(さめがい)。初代店主は、店を構える際に良質の水を求めこの地に創業したそうです。以来200有余年、創業からの銘菓である「烏羽玉」は今なお昔のままの姿を残しています。そんな、老舗の亀屋良長ですが、伝統的な菓子以外に常に創作菓子を作り続けてきたのです。

 

2010年には、京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」とコラボレーションした商品展開を始め、翌年にはパリの2つ星レストランでシェフパティシエをしていた方と、新ブランド「Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA」を立ち上げたのです。江戸時代からの伝統を引き継ぎながらも、新しい和菓子の可能性も追及していったのです。現八代目当主、吉村良和さんの夫人、吉村由依子さんは、2000年Le Cordon Bleuパリ校 料理ディプロム取得し、レストランで研修後、帰国しました。そして、2001年の結婚を機に伝統的な和菓子の世界に入り、商品企画開発に携わるようになったのだそうです。

京都の老舗和菓子店が作った身体に優しいGI値の低い菓子「焼き鳳瑞 種まき」

吉村良和さんが体調を崩され病気になられた時、吉村由依子さんは身体にやさしく負担がかからない和菓子が出来ないかと考えたそうです。由依子さんは、同志社女子大学の生活科学部で食物栄養科学科を学ばれていた栄養学の専門家でもあったのです。「甘いものは控えないといけない……、でも甘いものは心の栄養」という信念で菓子作りの研究開発を始めました。

 

実は私が糖尿病専門病院のレシピブックの制作をしていたので、この話をお聞きしてさらに興味を引かれました。最初のレシピブックのあとに、2冊目の企画を立てて、糖尿病になっても食べられるスイーツの本が出来ないかと考えていたからなのです。この新しい和菓子は「焼き鳳瑞(やきほうずい)種まき」と名付けられ、亀屋良長のブランドの一つとして吉村由依子さんの名前を冠して「吉村和菓子店」として誕生したのです。

 

この焼き菓子は、ココナツシュガーで泡立てた卵白の上に、玄米、黒ごま、南瓜の種、韃靼(だったん)そばの実、木の実、抹茶などをのせて低温でじっくり乾燥焼きしたもの。ベースになるのは、プレーンとはったい粉の2種で、言い換えれば、西洋菓子のメレンゲが和菓子になったのです。それが、単に美味しい和菓子という他に、GI値が低めの天然甘味料を使用しているのです(※)。

 

「GI値」とは“グリセミック指数”という言葉で、炭水化物が分解され糖に変わるまでのスピードを現した数値なのです。一般的にGI値の低い食品は、血糖値が急激に上がることの抑制効果が期待できる、逆にGI値の高い食品は、血糖値を急に上げてしまうことになるのです。GI値が低いほど血糖値の上昇が遅くなり、インシュリンの分泌も抑えられる効果があるのです。糖尿病専門病院のレシピ本を企画している私としては、これは非常に興味のある和菓子なのです。

 

甘味には、主にココナッツシュガーやメープルシロップ、甜菜糖、パラチノースなど、GI値が低めの天然甘味料が使用されている上に、ミネラルや食物繊維を豊富に含む素材も使われ、栄養のことも考えた優れた和菓子に仕上っているのです。口の中に入れると、メレンゲがしゅっと溶けて、上にのせてある歯触りの良いクリスピーな食材を噛み締めると、じわっと甘みが広がるのです。伝統の和菓子と洋菓子を融和させて、なおかつ身体に良いものをと、京都の和菓子の新しい方向性はこれからも期待が出来きますね。

  

※吉村和菓子店ホームページ(http://yoshimura-wagashiten.com/)掲載内容を引用

京都の老舗和菓子店が作った身体に優しいGI値の低い菓子「焼き鳳瑞 種まき」

※掲載情報は 2016/08/10 時点のものとなります。

  • 12
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
京都の老舗和菓子店が作った身体に優しいGI値の低い菓子「焼き鳳瑞 種まき」
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

次へ

前へ