辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

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みなさん、「島とうがらし」ってご存じですか?

 

沖縄県の在来種の1つでハバネロをスリムにしたような小粒な風貌ですが、「島とうがらし」と呼べるのは、F1交配されていない在来種の4種のみ。これまで収量を追い求めたり辛さを追求するための品種改良が行われてこなかったことにより、その独自の風味を残しています。

 

今回は、その島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」をご紹介します。

島とうがらしとの衝撃的な出会い

「島ネロ」の生産者の大島東修さんは、大阪府のご出身。30余年コックの仕事に従事したあと、縁あって2000年に沖縄に移住を果たしました。その後しばらくはそれまでの経験を活かして、米軍基地内でコックとして働いていました。

 

ノミ(飲み)ニケーションの多い沖縄のこと、大島さんは頻繁に仲間たちと持ち寄り形式の飲み会を開催していたそうです。そんなとある日のこと、仲間のうちの1人が刺身につける醤油とわさびを忘れてきてしまいました。わさびがないと刺身が……と思っていたところ、忘れた当の本人はけろっとした顔で、「大丈夫~、ちょっと待ってなさい」と言って隣の家の塀を乗り越えて行ったかと思うと、片手にいっぱいの島とうがらしを持って戻ってきたそうです。そして、指で島とうがらしを潰して、そこに塩を混ぜ込み、「はい、完成」と差し出したのです。そんな風に手作りされては、食べないわけにはいきません。

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

「島とうがらしってすごく辛いんじゃ……」と、恐る恐る刺身にその即席調味料をつけて食べてみました。その瞬間、大島さんは未経験の「旨い辛さ」に出会います。唐辛子といえば単調な辛さという印象しかなかったのが、その旨みに驚いたと言います。

 

「これは絶対にモノにしてみせるぞ」

 

大島さんがそう誓った瞬間でした。

語るためには自分で育てなければ

根が真面目な大島さんは、「島とうがらしの旨辛い味を世間に広めるためには、まずは種子や苗から語れなければ!」と考え、畑を借り、島とうがらしの栽培を始めました。早朝に水やりをし、基地の中でコックとして1日働いたあと、また畑に戻り水やりをして……という生活を5年間続けました。

 

最初のころは隣の畑の農家さんから「兄さん、何植えてる?大麻か?」とからかわれたりもしたそうですが、幾度の台風で全滅した畑にも挫けずに毎日一生懸命世話をしている大島さんに姿に感銘を受け、試作品の辛味調味料の味見にも協力してくれるようになったそうです。

 

一番の苦労を聞いたところ、「台風が何回も来て、何もかも吹き飛ばされて、畑に残ったのは島とうがらしの茎だけ。なんだか見た目がアスパラガスに似ていたので、ベーコンを巻いて食べてみたんだけど、筋が多すぎてまずかったなあ」と笑いながら答えてくれました。

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

島とうがらしの「旨辛さ」が表現できる辛味調味料ができあがるまでに、様々な材料を買いこんではトライ&エラーを繰り返し、試作回数35回目にしてやっと現在の配合にたどり着いたそうです。

 

「ここまでに、BMW3シリーズ1台分くらいお金かかったんじゃないかなあ。あ、8年落ちのBMWだけどね」

とにこやかに言いますが、農業の素人がたった1人で、一から畑を耕し、種から育て、ほかの仕事をしながら毎日畑の面倒を見て、試作を繰り返して……というのは、とてつもない努力ではないでしょうか。

 

どうしてそこまでして?という私の問いに、大島さんはこう答えました。

 

「この島とうがらしは沖縄の宝ものだと思うんです。この旨さを日本中に、世界中に伝えることで、島とうがらしが復権して、島とうがらし栽培の農家さんの経済が成立してほしいと思う。それが、僕を受け入れてくれた沖縄への恩返しになると思うんです」

 

外から来た人間だからこそ、受け入れてくれた土地に対して恩返しをしたい。

 

「島ネロ」には、そんな大島さんの気持ちが込められているのです。

旨みもあるから、いろいろな使い方ができる

「島ネロ」は島とうがらしや泡盛、シークヮーサー果汁など複数の原料をブレンドした辛味調味料で、2種類あります。黒色のパッケージが「島ネロ」。そしてそれを低温熟成抽出したのが、黄金色のパッケージ「島ネロ キラーズホット」です。後者のほうが辛味を強く感じますが、突き刺さる鋭利な辛さではなく、厚みのあるかどの丸い辛さと、そのあとにでてく旨みが癖になります。

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

冒頭でご紹介したように、刺身につけたり、ピザやグラタンにかけたりという使い方のほか、ビールに数滴たらすと、一気においしいカクテルが出来上がります。

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

私は上記のような使い方のほか煮込み料理に使うのが気に入っていて、今回はたことトマトの煮込みに加えてみたところ、相性バッチリ。「島ネロ」は旨みがあるので、トマトとの相性がとてもよいのです。

辛くて旨い!沖縄が誇る島とうがらしを使った辛味調味料「島ネロ」

実が非常に小さい島とうがらしは、病害虫に弱く根の張りも浅いため、栽培も大変、収穫も大変な品種です。そのため、認知度が徐々に高まってきているのと反比例するかのように、年々栽培農家は少なくなってきています。

 

「島ネロ」がみなさんに愛されて、大島さんの願いでもある「島とうがらしの復権」が果たされ、また活発に生産されるように願っています。

 

お問い合わせ先

TEL&FAX:098-963-5511

携帯:090-7953-3813

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※掲載情報は 2016/05/15 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青山志穂

ソルトコーディネーター

青山志穂

東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。

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