ウィーンで200年の歴史を持つ「ホテル・ザッハ」の伝統的ザッハトルテ

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ザッハトルテの知られざる歴史

ウィーンの銘菓といえばこれ、ザッハトルテ。ウィーン王室御用達だった「デメル」のザッハトルテと「ホテル・ザッハ」のそれが有名ですが、オリジナルは、ホテル・ザッハのものだと言われています。

ウィーンで200年の歴史を持つ「ホテル・ザッハ」の伝統的ザッハトルテ

もともとは、菓子職人だったフランツ・ザッハが1814年のウィーン会議のために作ったのが始まり。彼はそれで財を成し、息子エドワードが1876年にホテル・ザッハを開業するも、エドワードの息子がホテルを財政難に巻き込んだのです。そこで、救いの手を差しのべたのが、デメルでした。デメルもザッハトルテを売ることで資金援助をしていたのですが、ホテル・ザッハ側は、デメルがザッハトルテの名称を用いることが気に入らず、ついに裁判に発展。結果はホテル・ザッハが勝利し、ホテル・ザッハはオリジナルを名乗り、デメルはデメルで製造許可を取得し、今に至っています。

ウィーンで200年の歴史を持つ「ホテル・ザッハ」の伝統的ザッハトルテ

この二つのザッハトルテは微妙に違います。「デメル」のそれは、アプリコットジャムが表面にのみ塗られていますが、ホテル・ザッハのほうは、チョコレートスポンジに挟んであります。ザッハトルテの特徴は、チョコレート掛けに砂糖が混ざっているため、シャリ感を感じることです。これはあくまでも私の推測ですが、19世紀初頭、チョコレートは高価な素材。しかも、現在のような繊細な風味ではなく、ちょっと苦みがあったため砂糖を混ぜることによって、量や味を調整していたのではないでしょうか。甘い争いの歴史を思いめぐらせながらいただく本場のザッハトルテは格別です。

ウィーンで200年の歴史を持つ「ホテル・ザッハ」の伝統的ザッハトルテ

※掲載情報は 2016/01/03 時点のものとなります。

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キュレーター情報

大森由紀子

フランス菓子・料理研究家

大森由紀子

学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。

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