牡蠣にはシャブリ……じゃなくてジャパニーズ・ウイスキー!?

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牡蠣においしいのは、実は、ウイスキーって知っていますか?

牡蠣にはシャブリ……じゃなくてジャパニーズ・ウイスキー!?

牡蠣の旬が来た。

 

よく「r」のつく月以外は牡蠣を食べてはいけないと言われる。では、いつがいいのか。

 

1月January
2月February
3月March
4月April
5月May
6月June
7月July
8月August
9月September
10月October
11月November
12月December

 

これ見ると5月、6月、7月、8月はNGでそれ以外ならOKということになる。さらに、「er」がつく月は特に美味しいとも言われるから、9月、10月、11月、12月は格別に美味しい月となる。

 

おもしろいのは生牡蠣大好き国フランスでは1月 janvier、2月 fevrierと書く。そう1月2月にも「er」がつくのだ。フランス人にとってはこれからの季節がますます美味しい牡蠣シーズンとなるというわけ。

牡蠣にはシャブリ……じゃなくてジャパニーズ・ウイスキー!?

牡蠣は世界中で食べられている貝で、世界的には珍しい「生で食べる貝」だ。魚介の生をほとんど食べない国でも不思議に牡蠣だけは生で食べる。また、食用の貝としてはとても歴史が長く、ローマ時代から養殖がされていたと言われ、世界中に「貝塚」がある。

 

パリでは、レストランの前にさまざまな大きさの牡蠣が並べられ、1ダース2ダース単位でオードブルとして注文する。世界中の牡蠣が並ぶオイスターバーはニューヨークの名物にさえなっている。生でそのままというわけではないけど韓国のキムチには牡蠣が欠かせない。

 

これだけ愛される牡蠣は美味しいのみならず、良質のタンパク質やカルシウム、亜鉛、グリコーゲンなどが含まれ、「海のミルク」とも言われるほど栄養豊富な食べ物。生はもちろんのこと、焼いても蒸しても揚げてもおいしいし、スープにすれば美味しい出汁がたっぷり出る。牡蠣と人間との付き合いは実に深いのである。

 

そういえば、昔パリで食べた「ブロン」は美味しかったなぁ。日本でよく見る細長いタイプではなく丸く平べったいタイプの牡蠣。なんとなく牡蠣に赤貝の美味しさをプラスしたような味と歯触りで2ダースも3ダースも食べることができた。日本でも養殖されていたけれど、2011年以来残念ながらあまり見なくなった。

牡蠣にはシャブリ……じゃなくてジャパニーズ・ウイスキー!?

さて、生牡蠣にはどのお酒がいいのだろう。シャブリ。

 

これはもう定番、定説、法律とまで言いたくなるような組み合わせだ。理由は、酸味の強い白ワインであるシャブリがレモン代わりになり生牡蠣の旨味をキュッと引き立ててくれるから。また、シャブリができる土壌はキンメリジャンという牡蠣などの貝類が堆積した古代地層で、そこから生まれるワインは牡蠣との相性が抜群であることなどが挙げられる。また強い酸味が生牡蠣の雑菌を殺してくれる、いわゆる殺菌作用があるからとも言われている。「生牡蠣にシャブリ」は「土用の丑の日に鰻」と同じくらいキャッチコピーとしての成功例かもしれない。

 

パリでよく飲まれるのは「ミュスカデ」だ。牡蠣の産地でもあるロワール河口が産地のひときわ酸味が際立つ軽快な白ワインで比較的お手頃。出来立ての泡があるくらいの新鮮なものを生牡蠣に合わせる。

 

さらにパリのスノッブは「ボジョレー・ヌーヴォー」を合わせるとか。そう赤ワイン。渋味が少なく酸味があるこの赤をあえて生牡蠣に合わせるのだ。牡蠣にはカクテルソースや黒胡椒をかける。すると軽快な赤ワインに合うの。同じ時期に楽しめる旬の組み合わせとしても楽しい。

 

フランスに負けないくらい生牡蠣大好きなイギリスやスコットランド、アイルランドは何を合わせる? 実はウイスキーだ。とくに海のヨードをたっぷり含んだアイラ島産の香り豊かなモルトウイスキーは同じく海の栄養たっぷりの生牡蠣とはすこぶるいい相性といわれている。生牡蠣に少量のウイスキーを振りかけると、海の香りがぐわっと広がり、甘味と旨味が引き出される。日本でもモルトウイスキーをおいている牡蠣専門店がずいぶん増えてきた。

 

日本の牡蠣ならジャパニーズ・ウイスキーがいい。シンプルに貝殻あけたての新鮮な生牡蠣にちょっぴり振りかけつつツルッといってみよう。振りかけるだけじゃなく飲むのももちろんウイスキー。できればストレートで。オンザオックでは冷たすぎるし、水割りは薄すぎる。2杯目は生牡蠣にレモンをちょっとプラスしてそこにウイスキー。これもまた味が引き締まり美味しい。

 

お勧めは「余市」。スモーキーフレーヴァーがしっかり感じられ、海の蒸溜所と異名をとるだけあってどこか潮の香りが漂うジャパニーズ・ウイスキーだから。

 

どうだろう、日本の生牡蠣にジャパニーズ・ウイスキー。新しい組み合わせとしてお試しあれ。

牡蠣にはシャブリ……じゃなくてジャパニーズ・ウイスキー!?

※掲載情報は 2015/12/19 時点のものとなります。

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キュレーター情報

友田晶子

トータル飲料コンサルタント/ソムリエ

友田晶子

米どころ酒どころ福井県に生まれ。ソムリエとして酒類業界に携わり、ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルと幅広く取り扱う。業界25年のキャリアと女性らしい感性を活かし、一般向け・プロセミナー、飲食関連イベントの企画・開催、PR事業アドバイス、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティング、観光PR支援等を行っている。各種専門家がガイドを務める人気のインターネット検索サイトAll Abouの日本酒・焼酎・ワインガイド。「わかりやすい説明」には定評がある。公式HP内で連載中の「おいしいラク学講座」では、日本酒や焼酎、ワインやビールやスイーツ、チーズにまつわる役立つコラムとおつまみレシピなどを常時更新中。田崎真也氏オーナー、ワインバー「アルファ」(銀座)代表。「シュヴァリエ・ド・タスト・フロマージュ」(フランスチーズ鑑定騎士団)。 日本料飲ビジネス研究会会長/東京芸術学舎 非常勤講師/ふくい食のアンバサダー・福井ブランド大使/球磨焼酎大使/著書「世界に誇る国酒~日本酒~」が、グルマン世界料理本大賞グランプリ受賞!/日本ロシアフォーラム2014「食と農」パネリスト

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