錦繍
嘯月(しょうげつ) 住所:京都市北区紫野上柳町6
京都のお土産を購入したり、いただいたりする機会が多いのですが、中でも最も心がおどる逸品が『嘯月』さんの上生菓子。こちら、店頭に商品が並んでいるわけではなく、購入するためには、事前に注文をして出来上がる時間に受け取りに行かなくてはいけません。サラっとその場で購入できず、生モノなので足も早く、繊細なゆえ持ち運びも大変……という、実はお土産にはちょっと不向きのお菓子。だからこそ、手に入れた時、そして味わった時の感動はひとしおです。
特に好きなのが、季節によってデザインが変わる人気商品のひとつ、きんとん。まるで絹糸のような繊細なあんをまとった色鮮やかな作品です。11月にいただける「錦繍」には銀杏や紅葉をイメージさせる黄や橙が入り混じっていて、秋ならではの美しさを感じる色調がエネルギッシュに表現されています。そして口に含むと、キメ細やかな餡がほろっと口中で崩れ、優しく奥深い甘味がじんわりと染みわたっていきます。
華やかさと繊細さが絶妙のバランスで融合した、日本が誇る究極のアート。食べ終わった後に感じる「はかなさ」もまた一興。季節と共に移ろう色彩の魔法を感じながら、五感を駆使して堪能したい、味わい深い芸術作品です。
嘯月(しょうげつ) 住所:京都市北区紫野上柳町6
※掲載情報は 2015/11/26 時点のものとなります。
ワイン研究家 株式会社食レコ 代表取締役
瀬川あずさ
聖心女子大学卒業後、施工会社の秘書を務め、多くの飲食店のリーシングや施工業務に携わる。その後、趣味が高じてワインエキスパート、日本酒利酒師の資格を取得。記者・ライター業、飲食コンサルティング業、ワイン講師など食やワインにまつわる仕事に精を出す。2014年、食に特化したリレーションサービスを提供する 株式会社食レコの代表取締役に就任。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」新宿校の主幹講師も務め、食やワインを通じた豊かなライフスタイルを発信している。