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世界も認める伝統の味と品質
クラフトビールという言葉をあちこちで見るようになりました。クラフトビール=アメリカのイメージがありますが、本来クラフトビールとは職人が手作りで作るビールのような意味合いがあります。ドイツやベルギーなどといったヨーロッパの国々は、大昔から家庭や修道院、ビール職人らが長年ビールを作ってきましたので、元々クラフトビールを作ってきたといえます。
こうして欧州にはあまたの醸造所がある中で、現存している世界最古の醸造所というのがドイツバイエルン州にあります。フライジングという町にあるヴァイエンシュテファン醸造所です。元は聖コルビニアンが725年に建てた修道院で、1040年の文献にこの修道院でビール醸造が認められたと書かれてあります。
ベネディクト派のこの修道院で約1,000年もの間ビールが作られてきているわけですが、現在醸造所はバイエルン州の経営になっており、同じ敷地内にはミュンヘン工科大学の醸造学科も置かれており、最先端のビールの研究が進められている場所でもあります。
まずはヘーフェヴァイスを
歴史、伝統、世界中での評価を併せ持つヴァイエンシュテファン醸造所のビールは、もちろんどれもおススメですが、初めての方にトライしていただきたいのはヘーフェヴァイス(Hefeweiss)。ヘーフェはドイツ語で「酵母」、ヴァイスは「白」を意味する言葉で、ヴァイツェン(Weizen)とも言います。ヴァイツェンは小麦を意味し、ヘーフェヴァイス/ヴァイツェンで、小麦の麦芽を使い酵母をろ過せず瓶内に残したビールということになります。
泡立ちがよく香りがいいこのビール、ドイツで数あるヴァイスビールの中でも定評があります。ヴァイスビール特有の酵母からくるバナナのような香り、苦すぎずフルーティな味わいは、女性にも好評です。
世界各地のビール品評会でも数々の受賞歴があり、今年も8月にロンドンで開催されたInternational Beer Challenge 2015で金賞を受賞したばかりです。
飲む時のコツ
ヴァイスビールは泡が立ちやすいので、グラスに注ぐときはグラスの底へ向けて一気に注がず、グラスを傾け、内側を添わせるように静かに流し込んでいきます。注ぎながら泡の立ち具合を見て、こんもりと王冠のようにグラスの上に泡が出るくらいを目安にします。ヴァイツェンのグラスは細長く底が厚い形をしています。このグラスで飲む時は、乾杯をする際、グラスの底同士をコツンと合わせます。
もちろんこのビールだけで十分楽しめますが、ドイツではこの「白」ビールに「白」ソーセージを合わせるのが定番です。他には優しい味付けのお料理や食材、例えば魚、チキン、強すぎない味のチーズ、サラダなどに合いますが、他にどんなものが合うか、どうぞいろいろ食べ合わせてみてください。
※掲載情報は 2015/08/25 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ドイツ食品普及協会 代表
森本智子
ドイツ在住11年、日本帰国後はドイツ農産物振興会日本事務所にマーケティングマネージャーとして勤務。2010年同団体の解体を機に独立、株式会社エルフェンを立ち上げドイツ食品・飲料の輸入・販売サポート、展示会の出展サポート・コーディネート、ドイツの展示会、会社訪問のガイド・コーディネート、ドイツ食文化セミナーの開催、ドイツの食の情報発信に関わる活動を行っています。
株式会社エルフェン:http://elfen.jp/
一般向けのイベントではドイツ大使館主催「ドイツフェスティバル」の立ち上げ、運営メンバー。
日本ではただひとり、ドイツ ドゥーメンス・アカデミー認定ディプロム・ビアソムリエの資格を持つ。
なかなか日本では知られていないドイツのおいしい物をご紹介していきたいと思っています。
著作:フォトエッセイとイラストで楽しむ ちいさなカタコト*ドイツ語ノート 国際語学社
ドイツパン大全 誠文堂新光社
http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5380